
ホテルの宿泊部門は、フロントやベル、コンシェルジュをはじめ、多くの職種が連携して“快適な滞在”をつくる、ホテル運営の中心的な存在です。
しかし、実際には「どんな仕事があるの?」「違いを知りたい」という方も多いのではないでしょうか。
この記事では、宿泊部門における7つの主要職種の仕事内容や役割を分かりやすく解説します。
ホテル業界に興味がある方、未経験から転職を考えている方は参考にしてみて下さいね。
ホテルの組織と売上構成
ホテル業界で働く上で欠かせないのが、「ホテルの組織構成」と「売上の仕組み」を正しく理解する事。
ホテルは宿泊・料飲・宴会を中心とした複数の部門で成り立ち、それぞれが役割を分担しながら運営されています。
また、ホテルの種類によって売上構成比も大きく変わるため、職種ごとの重要度やキャリアパスも異なります。
まずは、ホテルの基本的な5部門の職種と、代表的な売上構成についてご紹介します。
ホテルの組織構成/5部門と職種
ホテルは多くのスタッフが連携して運営されており、その組織は主に5つの部門で構成されています。
①宿泊部門:フロント・ベル・コンシェルジュなど、お客様と最も近い距離で接する部署です。
②料飲部門:レストランやラウンジでのサービススタッフ、食器管理を行うスチュワード、シェフや調理スタッフなど、ホテルの“食”を支えるプロフェッショナルが集まる部門です。
③宴会部門:宴会予約やサービス、ウェディングプランナーが活躍し、結婚式や企業イベントなど大規模な催しを企画・運営します。
④営業部門:企業や旅行会社への提案営業、イベントの企画、マーケティング、広報活動などを担当します。
⑤管理部門:経理・人事・総務といったバックオフィス機能を担当し、スタッフの管理や会社運営を支える役割があります。
ホテルの売上構成
ホテルの収益構造は、主に「宿泊部門・料飲部門・宴会部門」の3つになりますが、日本には様々な種類のホテルがあるため、売上構成比は異なります。
シティホテルの場合は、下記のような割合となっています。
シティホテルとは、観光客やビジネスマン・ファミリーからカップルなど幅広い客層に対応しているホテルで、日本の都市部に位置する事が多く、飲食店や宴会場の他、ラウンジやジム・大浴場などが併設されている事も。
日本の代表的なシティホテルには、帝国ホテル・ホテルニューオータニ東京・ホテルオークラ東京などが挙げられます。
・料飲部門:約30%
・宴会部門:約30%
・その他 :約10%
宿泊部門の仕事内容【7職種】
ホテルの宿泊部門は、フロント・ベル・コンシェルジュなど、お客様の滞在を最前線で支える“ホテルの中心”ともいえる部署です。
接客の中核を担うため、ホテルの印象を大きく左右するだけでなく、どの職種も専門性とホスピタリティが求められます。
ここでは、ホテル業界への転職を考えている方に向けて、宿泊部門の主な仕事内容と、それぞれの役割・特徴を分かりやすく解説します。
未経験からでも挑戦できる職種も多いため、自分に合ったキャリアを見つける参考にしてください。
①フロント
ホテルのフロントは必ずお客様が1番最初に立ち寄る場所です。
ホテルの顔として明るい笑顔やマナーはもちろんの事、言葉遣いや時には語学力も求められます。
主な仕事内容は、チェックイン・チェックアウトの手続き、宿泊予約管理、宿泊客への各種案内や手続き、お会計など。
何かあった時に1番にフロントに確認する宿泊客が多いため、ホテル内の全ての事を把握している事が必要であり各部署との連携も大切になってきます。
また、貴重品預かりもフロントスタッフの業務の1つ。
お会計の際にも大金を扱いますので、ミスなく信頼される事が非常に大切になります。
②ベル
ベルスタッフは、到着した宿泊客の荷物を預かり、フロントや客室までの案内を担当します。
客室に新聞を届けたり、ホテル内の案内業務などもあり、ホテル内を行き来する事が多いため他のスタッフとの関わりも多い仕事です。
出入り口周辺やロビーなどで、多くの宿泊客と接する機会が多いため、常に気を配り明るい笑顔や接客マナー・振る舞いなどが求められます。
ベルマンとしてキャリアを積む事も可能ですが、経験を積んだ後に他の部門へステップアップしていくケースが多くなっています。
ホテリエへの第一歩として経験しておきたい大切な仕事です。
③コンシェルジュ
宿泊客の様々な問い合わせやリクエストに可能な限り対応するスタッフで、ホテルの何でも屋とされています。
ホテル内のご案内だけでなく、観光案内や情報提供・ホテル内外のレストランの予約・レンタカーや新幹線の乗車券や航空券の手配・スポーツ観戦のチケットの手配・ビジネスサポートなど様々なリクエストに対応します。
お客様にとってより良い方法を提案するので、多くの知識とアイデア・情報力、また語学力やマナーなど幅広いスキルが求められる職種です。
ホテル内の他部署やホテル外の施設などと連携して、可能な限りリクエストに応えられるよう対応するため、コミュニケーション力や情報収集力が求められます。
④ドアマン
主な仕事内容は、ホテルの正面玄関で到着したゲストを出迎え、安全かつスムーズに館内へ案内する事。
お客様と接する時間は僅かですが、ホテルの顔でありそのホテルの第一印象を左右する重要な職種です。
ゲストの到着・出発に合わせて、ホテルの正面玄関のドアや車のドアの開け閉めを行ったり、駐車場への誘導、タクシーの手配、近辺の警備など業務は多岐に渡ります。
時には、お客様の車を預かって駐車や出庫を代行する事も。
⑤ハウスキーピング
客室係とも呼ばれており、客室の整備・清掃・管理などを担当するスタッフの事。
主な仕事内容は、客室の清掃、アメニティ・備品の補充、ベットメイキング・寝具の交換、ランドリーサービスや備品の貸出などで業務は多岐にわたります。
お客様に快適に過ごしてもらうため、前のお客様の気配や匂いが残らないようゴミや汚れを綺麗に片付けます。
チェックアウトからチェックインまでの短い時間や、連泊中であればお客様が外出している時間内に素早く清掃しなければなりません。
想像以上に忙しく大変な作業となり、ホテルにとって重要な仕事の1つになります。
⑥リザベーション
リザベーションは、宿泊の予約を一括で管理するスタッフの事。
電話やメール・HP・ウェブサイト・旅行代理店など色々な方法で予約が入るためその全てを管理します。
相手は個人のお客様〜団体客、旅行代理店の担当者など様々です。
お客様とホテルが最初に接点を持つところですので、確実かつ迅速な対応が求められます。
予約の受付だけでなく、予約のキャンセルや変更もあるのでしっかりコントロールしなければなりません。
また、予約に関するお問い合わせを受ける事もありますので、常に空室状況や料金の確認し、質問に応えられるようにしておきます。
予約確定後は名前や連絡先の入力などを行い、ダブルブッキングしないよう気を付けなければなりません。
⑦オペレーター
外線はもちろんの事、客室からの電話や各部署からの内線にも対応します。
宿泊・レストラン・ブライダル・宴会などの予約以外にも、「宿泊客に電話を繋いで欲しい」「ルームサービスのオーダー」など様々です。
お客様が最初に接するのがオペレーターになりますので、ホテルの第一印象を左右する職業でもあります。
関連部署に繋ぐ事も可能ですが、できるだけその場で完結できるよう勉強・努力しておく事が大切です。
忙しい業務の中でもホスピタリティを要求されため、相手の状況に応じて臨機応変に対応できる柔軟さや機敏さが求められる仕事です。
オペレーターは、代表電話への外線や客室からの電話など日々様々な電話に対応しています。
まとめ
ホテルの宿泊部門は、フロント・ベル・コンシェルジュをはじめ、滞在中のお客様と最も多く接する重要な部署です。
チェックイン対応から客室案内、問い合わせ対応、予約管理、電話オペレーションまで幅広い業務があり、ホテルの印象を大きく左右する役割を担っています。
また、宿泊・料飲・宴会など複数部門で構成されるホテル運営の中でも、宿泊部門は売上の柱であり、キャリアの基盤として経験を積む人が多いのも特徴です。
未経験であっても、接客マナーやホスピタリティを身につければ活躍のチャンスが広がるため、ホテル業界を目指す方にとって最初のステップとして最適な職種と言えるでしょう。
本記事で紹介した各職種の特徴や必要スキルを理解し、自分に合ったキャリアを描く参考にしてみて下さい。
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2025.12.15

