
一流ホテルでイタリアン調理師として活躍することは、多くの料理人にとって憧れであり、大きな目標のひとつです。
しかしその一方で、ホテルは組織構造が複雑で、一般のレストランとは異なる特徴や難しさもあります。
ホテルにおけるイタリアン部門は、単なるレストラン運営に留まらず、宴会、インルームダイニングなど、多様な収益部門を支えています。
求められる職務と役職も多岐にわたりますので、下記のような疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
・街場のリストランテで積んだ経験が、ホテルでどのように活かされ、キャリアアップに繋がるのか分からない。
・ホテルイタリアン部門の具体的な役職名とその責任を知りたい。
・各役職で求められる「技術」と「マネジメントスキル」のバランスを知りたい。
・将来的に総料理長(エグゼクティブ・シェフ)になるための具体的なキャリアプランを知りたい。
そこで、ホテル業界専門の転職エージェントである「ホテルビズ」が、ホテルイタリアン部門における役職の全貌と、各ステップで求められるスキルセット、そして高年収に繋がるキャリアプランを詳細にお伝えします。
イタリアン部門の仕事の種類と役割
ホテル内におけるイタリアン部門は、単一のレストラン機能だけでなく、ホテルの複数のサービスに料理を提供しています。
職務による「仕事の種類」の分類
ホテルイタリアン調理師が関わる主な仕事の種類は、以下の3つに大別されます。
<レストラン(ファインダイニング)業務>
ホテルのブランドを体現するアラカルトやコース料理の提供。
料理の創造性、クオリティの安定性が最も厳しく問われる部門。
ソムリエやサービススタッフとの密な連携が不可欠。
<宴会・ケータリング業務>
婚礼、会議、パーティーなど、数百名規模のイタリアンメニューの提供。
大量調理と、多様なアレルギー・要望への対応力が求められる。
収益性に直結するため、原価管理や効率性が重視される。
<インルームダイニング(ルームサービス)業務>
24時間体制など、提供時間とスピードが重視される業務。
冷めても美味しく、サービス動線に耐えうる料理設計が求められる。
ホテル特有の「セクション」と役割
ホテルでは、役割が細かく分化されています。
イタリアン部門における主なセクション(パルティ)は以下の通りです。
パスタ、リゾット、スープなど担当。手打ちパスタの技術が必須。
<セコンドピアット(Secondo Piatto)>
メインの肉料理、魚料理を担当。高度な火入れ技術と原価管理が重要。
<アンティパスト(Antipasto)>
前菜、コールドミール、サラダなどを担当。盛り付けの芸術性が問われる。
<パティスリー/ドルチェ(Dolce)>
デザート、焼き菓子などを担当。独立したペストリー部門と連携することも多い。
イタリアン部門の役割と昇進
ホテルでは、経験年数とスキルに応じて明確な役職が設定されています。
役職が上がるにつれて、「技術」よりも「マネジメント」への比重が高まります。
現場を支える職位一覧
<コミ・ド・キュイジーヌ (Commis)>
・経験年数:1~3年
仕込み、清掃、先輩の補助。基礎技術の習得。
*求められるスキル*
<デミ・シェフ (Demi Chef)>
・経験年数:3~5年
セクションの一部担当。
調理スピードの向上。
*求められるスキル*
基礎技術の応用力、効率的な段取り。
<シェフ・ド・パルティ (Chef de Partie)>
・経験年数:5年〜8年
特定のセクションの全責任(発注・品質管理含む)。
若手指導。
*求められるスキル*
高度な技術、原価管理能力、教育指導力。
「シェフ・ド・パルティ」への昇進は、調理師から「管理者」への第一歩です。
この段階で、単なる技術だけでなく、原価管理と品質の安定化に関する実績を積み上げることが、その後のキャリアを左右します。
部門統括管理職:スーシェフ・シェフ
<スーシェフ (Sous Chef)>
・経験年数:8年~
部門全体の現場運営と管理。
料理長不在時の代行。
スタッフのシフト・人件費管理。
*求められる資質(年収直結)*
危機管理能力、部門統率力、収益目標達成への貢献。
<シェフ (Chef de Cuisine)>
・経験年数:10年~
レストランの全て(コンセプト、メニュー、収益)に責任を持つ。
広報活動、サービス部門との交渉。
*求められる資質(年収直結)*
経営感覚、ブランド構築力、卓越した創造性。
スーシェフ以上は、技術的なミスよりも、「部門の収益を達成できないこと」が最大の失敗と見なされます。
マネジメント層への昇進は、料理人から「経営者」への転身を意味します。
ホテル全体の頂点職:エグゼクティブ長
エグゼクティブ・シェフ(総料理長)は、イタリアン部門を含むホテル内のすべての調理部門(宴会、和食、洋食、ペストリーなど)を統括する最高責任者。
<責任範囲>
ホテル全体の料理の品質、衛生管理、人材育成、そして調理部門全体の収支に責任を持ちます。
<求められる資質>
卓越した技術力はもちろん、数百名規模のスタッフを統率するリーダーシップ、ホテルの経営層との交渉能力、そしてグローバルな視点が必要。
このポジションは、年収1,000万円以上も視野に入る、最も高待遇な職位です。
役職別キャリアプラン:必要スキル
高年収のエグゼクティブ・シェフを目指すために、各ステップで意識的に習得すべきスキルを解説します。
20代-30代前半:基礎技術と規律の確立
この時期は、イタリア料理の基礎技術を完璧に習得するとともに、ホテル特有の「規律」と「組織適応能力」を身につけることが最優先です。
<必須スキル>
手打ちパスタ、ソース技術、魚と肉の火入れ、そして迅速かつ正確なアレルギー対応の知識。
<キャリア目標>
シェフ・ド・パルティ(セクション責任者)への昇進。
「自分のセクションは、料理長がいなくても完璧に回せる」という実績を作る。
<転職戦略>
街場のリストランテで技術を磨いた後、外資系ホテルのコミとして入社し、ホテルの厳格な衛生・オペレーション基準を学ぶことが有効。
30代中盤-40代前半:管理と収益貢献
この時期は、技術からマネジメントへの移行期であり、キャリアの分岐点となります。
<必須スキル>
人件費を含む部門予算の作成・管理、発注・在庫の最適化による原価率改善、多国籍スタッフの育成と指導。
<キャリア目標>
スーシェフへの昇進。
料理長を補佐し、部門の収支目標を達成する実績を積み上げる。
<転職戦略>
スーシェフのポジションでは、現在のホテルでの「数値実績」(例:原価率を2%改善)が最も評価されます。実績を武器に、より待遇の良い競合ホテルへの即戦力採用を狙います。
40代以降:経営層としてのブランド戦略
シェフ(料理長)以上の職位では、料理を提供する対象が「お客様」から「ホテル経営層」へとシフトします。
<必須スキル>
ホテルのブランド戦略に基づいたメニュー開発、広報・メディア対応、調理部門全体の効率化と危機管理(食中毒発生時の対応など)。
<キャリア目標>
エグゼクティブ・シェフへの昇進。ホテル全体の利益に貢献する「食のビジネスリーダー」となる。
ホテルビズが提供するキャリア
ホテルイタリアンでのキャリアアップは、個人の努力だけでなく、市場の正しい情報を得て、戦略的に動くことが不可欠です。
街場経験者がホテルへ転職する際の注意
街場のリストランテで料理長経験があっても、ホテルではいきなり「シェフ」として採用されることは稀です。
<給与テーブルの違い>
違街場では「料理長」でも、ホテルでは「シェフ・ド・パルティ」からのスタートとなることが多く、役職が下がっても、基本給や福利厚生を含めた待遇は改善するケースがほとんどです。
<スタートアップポジション>
ホテル特有の規律やオペレーションを学ぶため、スーシェフ補佐やシェフ・ド・パルティのポジションからスタートし、その後の昇進スピードを速める戦略が有効です。
ホテルビズが提供するキャリアサポート
私たちホテルビズは、イタリアン調理師としてのスキルを、最も高く評価してくれるホテルへと導きます。
<役職別求人の提供と年収交渉>
・現在保有するスキルと経験から、ホテル市場での適正な役職(シェフ・ド・パルティか、スーシェフか)を正確に判断。
・個々の市場価値に基づき、希望年収と役職の交渉を代行し、最高の待遇を獲得します。
<キャリアプランニングの具体化>
・「5年後にスーシェフになるためには、次にどのホテルのどのポジションで、どのような実績を積むべきか」という具体的なロードマップの作成。
・外資系・日系、レストラン特化・宴会特化など、ホテルごとの特性を考慮し、目標に合ったキャリアパスを提案します。
イタリアンへの情熱と培ってきた技術は、ホテルという最高の舞台でこそ、さらに大きく輝かせることができます。
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2025.12.11

