
ホテルには、複数のレストランがあり、宿泊のお客様だけでなく料理を楽しみに来館されるお客様も多くいます。
記念日ディナーや結婚式、国際的な会議など、ホテルは様々なお客様が集まる特別な場所。
おもてなしの最高峰とも言われているホテルにとって、その厨房で働く調理スタッフは、お客様の大切な時間を演出する重要な存在です。
ホテル調理の魅力は、レストラン・結婚式や宴会・宿泊客への朝食ビュッフェなど、シーンに合わせて幅広い経験を積める事。
さらに、和洋中から製菓まで多彩なジャンルに携われるため、調理技術の向上はもちろん、メニュー開発やマネジメントなど、キャリアの選択肢も広がります。
安定したホテルという経営基盤のもとで多様な経験を積める点も大きな魅力です。
ただし、ホテルで働く際には、給料や勤務体系といった働き方の条件も気になるポイントになると思います。
そこで今回は、前回ご紹介したホテルの調理部門の仕事内容ややりがいに続き、給与や勤務体系について詳しくご紹介します。
ホテルの調理スタッフの給料
ホテルで働く調理師の平均年収は、約310万〜450万円程度です。
シェフクラスになると、平均で約388万〜480万円程度となりますが、勤務先や経験、働き方、スキルによって差があります。
本格的なフレンチや高級料理を提供するホテルや結婚式場では、リーダーや料理長クラスになると800万〜1,000万円程度の年収になるケースも。
また、多くのホテルでは資格取得支援制度や資格手当が整っており、給与面に反映される事も。
さらに、残業手当やボーナスが支給される企業も多く、安定した収入とキャリア形成が期待できる環境です。
ホテルスタッフの平均月収・初任給
ホテルスタッフのお給料は、就業する会社・地域・職種・年齢・スキルによっても大きく異なります。
ここでは一般的なお給料の平均額に関してお伝えしていきます。
ホテルスタッフの給料の平均月収と初任給は、以下の通りとなっています。
25万9千円〜
<初任給>
○4大卒 :22万円〜
○短大卒:21万5千円〜
○専門卒:21万3千円〜
○高卒 :20万7千円〜
・全体:461万円
・男性:567万円
・女性:280万円
(※国税庁:令和6年分民間給与実態統計調査)
◎日本の平均年収と比べると、一般のホテルスタッフの年収は低い水準となっていますが、管理職クラスになると同等か少し上回る結果となっています。
賞与(ボーナス)
ホテル業界でも、ボーナスは一般的に、6月と12月の年2回支給される事が多くなっています。
ただし、全員に一律で支給される場合や、企業の経営状況によって支給されない場合もあり、固定給のように必ずもらえるものではありません。
支給額はホテルの規模や財務状況によって異なりますが、目安として月給の3か月分程度が一般的。
この場合、年間で約70〜80万円程度の支給になります。
ボーナスの仕組みや金額は企業によって差があるため、入社前に確認しておく事が重要です。
ホテルスタッフの手取り金額
ホテルで社員として働く場合、給与の額面から社会保険料や税金が差し引かれるため、実際に手元に入る「手取り」は額面より少なくなります。
主に控除されるのは以下のような項目です。
・健康保険
・厚生年金保険
・介護保険
・労災保険
・雇用保険
宿泊業界の平均的な月収を参考にすると、これらを差し引いた手取りはおよそ 20万〜23万円 前後となります。
額面の給与だけでなく、手取りを意識した働き方や生活設計を考える事が大切です。
昇給・昇格
ホテルの調理スタッフも、他業界と同様に、同じ給与がずっと続くわけではありません。
一般的には年齢や役職に応じて年に1回程度の昇給があります。
ホテルの種類によって昇給の仕組みは異なります。
外資系ホテルでは実力主義が多く、能力や成果に応じて給与が上がる事が一般的です。
一方、日系ホテルでは年功序列の傾向が残っている場合もあります。
キャリアアップを目指す場合、一般の調理スタッフからスーシェフやシェフへとステップアップする事で、給与も上がっていきます。
経験や実績を積むほど、将来的に安定した収入とポジションを手に入れる事ができる環境です。
ホテルの調理部門の勤務形態
ホテルは24時間365日稼働していますが、調理部門の勤務は比較的規則的です。
レストランや宴会の営業時間に合わせて勤務するため、夜勤のような不規則なシフトはほとんどありません。
そのため、生活リズムを整えやすく、安定した働き方が可能です。
勤務時間
ホテルの調理部門では、1日の勤務時間は、実働7〜8時間程度が平均でシフト制が基本となっています。
朝食の準備があるため早朝からの勤務はありますが、深夜営業はほとんどないため、夜遅くまで働く事は少ないでしょう。
多くのホテルでは、朝7時頃〜夜22時前後の間でシフトが組まれます。
ただし、ホテルには繁忙期と閑散期があり、繁忙期には残業が発生する事もあります。
また、土日や祝日は宿泊客や結婚式の対応で平日より残業が多くなる傾向に。
このように、シフトはあるものの生活リズムを大きく崩さず働けるのが、ホテル調理部門の特徴です。
休日
ホテルでは、多くの場合、週休2日制が基本で、月の休みは8〜9日です。
ただし、宿泊客や結婚式の多い土日祝は勤務になる事が多く、平日に休みを取るシフト制が一般的。
ビジネスホテルなどでは、土日に休みを取りやすい傾向があります。
ゴールデンウィークや夏休み、お盆、年末年始など、世間が長期休暇の時期はホテルの繁忙期となるため、長期休暇の取得は難しくなる場合があります。
年間の休日としては、有給休暇・産休育休・慶弔休暇などが取得可能です。
シフト制の勤務ではありますが、計画的に休みを取りやすく、生活リズムを大きく崩さず働ける環境が整っています。
ホテルの調理部門の1日
ホテルで働く調理スタッフはどのように1日の業務を行なっているのでしょうか。
担当するセクションによっても変わりますが、主な1日のスケジュールをご紹介します。
7:00〜10:00 出社
着替え
ランチの開店準備
下ごしらえ
↓
11:00 オープン(ランチタイム)
調理
仕込み(ディナー分・翌日の朝食・翌日のランチ)
↓
14:00 閉店(ランチタイム)
片付け
仕込み(ディナー分・翌日の朝食・翌日のランチ)
↓
14:30〜15:30 休憩
食事休憩
↓
16:30
ディナータイムの準備
仕込み
↓
17:00 開店(ディナータイム)
調理
↓
18:30〜22:00 退社
ラストオーダー後
片付け・掃除
クローズ作業
翌日の仕込み
土日祝日は来客数も多くなるため、退社は平日よりも遅くなる事も。
★調理部門ではこのような流れで仕事をしています。
ホテルやレストランの営業時間によっても異なりますし、レストランの調理か宴会の調理かによっても内容や時間は異なります。
まとめ
今回は、ホテルの【調理部門】の給料や勤務形態についてご紹介しました。
調理スタッフの平均年収は約310万〜450万円で、シェフや料理長クラスになると800万〜1,000万円のケースもあります。
昇給・昇格の機会もあり、経験や役職に応じて安定した収入を得る事が可能です。
勤務時間はシフト制で実働7〜8時間が一般的で、夜勤はほとんどなく、休日は週休2日制が基本となっているので、生活リズムを整えやすい環境でしょう。
長時間の勤務や立ち仕事など体力的に大変に感じる面もあるかもしれませんが、感謝の言葉を頂く事も多く大きな達成感や満足感も得られる仕事です。
安定した経営基盤のもと、多彩な経験を積み、キャリアの選択肢を広げながら働けるホテルの調理部門は、料理人として長く成長していける魅力的な職場です。
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2025.09.15