ホテル業界への転職を考える上で、「どの部門がどのように売上を生み出しているのか」を理解しておく事はとても重要です。
ホテルの仕事は、宿泊・料飲・宴会といった複数の部門が連携しながら成り立っており、売上構成はホテルの規模や立地、強みとするサービスによって大きく異なります。
どの部門に力を入れているホテルなのかを知ることで、将来性やキャリアの描き方、求められる役割も見えてきます。
今回は、前回の「ホテルの売上構成①」に続き、ホテル全体の売上構成と内訳を整理した上で、特に利益率が高く経営において重要な「宴会部門」の売上構成について詳しく解説します。
転職先選びや職種理解の参考として、ぜひご覧ください。
ホテルの売上構成・内訳
宿泊部門をはじめ、レストランやバーを運営する料飲部門、結婚式や各種宴会を担う宴会部門、物販やその他サービスなど、複数の部門が連携することでホテル全体の売上が構成されています。
どの部門がどの程度の売上を担っているのかを理解することは、ホテルの経営構造や各部門の役割を把握する上で欠かせないポイントです。
一般的なシティホテル の売上構成
シティホテルは、ファミリーやカップル、ビジネス利用の一人客など、幅広い客層に対応しており、日本の都市部を中心に多く展開されています。
料金帯も、リーズナブルなホテルから高級ホテルまで様々。
また、館内には飲食店や宴会場のほか、ラウンジやジム、大浴場などの付帯施設を備えているケースも多く、宿泊以外の利用でも収益を上げられる仕組みが整っています。
◎宿泊が中心のビジネスホテル→宿泊部門の売上比率が高くなる
◎宴会場の規模や数が多く、結婚式に力を入れているホテル→宴会部門の収益が大きくなる
など、ホテルの特徴によって売上構成にも違いが生まれます。
・料飲部門:約30%
・宴会部門:約30%
・その他 :約10%
宴会部門の売上構成は?
前述したように、ホテルの宴会部門での売り上げには、「一般宴会」と「婚礼」の2つがあり、様々な宴会に対応しています。
シティホテルでは、婚礼の売り上げが大きく占めていましたが、少子高齢化・ナシ婚の増加・結婚式のスタイルの多様化により、ブライダル業界での競争が激化。
そのため、一般宴会に力を入れるホテルも増えてきています。
ここでは、宴会部門の売上となる、「一般宴会」と「婚礼」を詳しくご紹介していきます。
①一般宴会
一般宴会には、法人・個人を問わず、忘年会や新年会、謝恩会といった各種パーティーのほか、企業の会議・研修・セミナー・イベント、大学や学会による国際会議、展示会、講演会など、幅広い利用があります。
その他にも、記者会見やディナーショー、音楽会、ファッションショーなど、多様な催しが開催されています。
近年、特に注目されているのが「MICE」と呼ばれる分野。
MICEが開催されることで、出展者や参加者による宿泊・飲食・観光などの消費が生まれ、開催地域周辺に大きな経済波及効果をもたらします。
内容によっては滞在期間が長くなるケースも多く、一般的なレジャーや観光と比べても、ホテルの売上や地域経済への貢献度が高い点が特徴です。
そのため、ホテルの営業部門では、自社ホテルでMICEを開催してもらえるよう、さまざまな施策を立案し、積極的な営業活動を行っています。
☑︎MICEとは
MICEという造語は、下記4つの言葉の頭文字をとったもので、多くの集客が見込まれるビジネスイベントなどの総称です。
①Meeting(企業などの会議)
②Incentive(企業などの報奨イベント)
③Conventio(国際会議)
④Exhibition(展示会・イベント)
<例>
| Meeting | Incentive | Convention | Exhibition |
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・企業の会議
・MTG
・研修
・セミナー
・役員会議
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・社員の表彰
・研修
・企業の報奨
・社内表彰
・パーティ
・研修旅行
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・展示会
・見本市
・イベント
・国際映画祭
・オリンピック
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・国際機関
・国際団体
・総会
・会議
・IMF
・世界銀行総会
|
◎宴会部門は、利益率が高く、ホテル経営を支える重要な収益源のひとつです。
ご紹介したように、主に「一般宴会」と「婚礼」の2つで構成されており、これまでシティホテルでは婚礼の比重が大きい傾向にありました。
しかし、少子高齢化やナシ婚の増加、結婚式スタイルの多様化により、ブライダル市場は競争が激化。
そのため近年では、企業イベントや国際会議、展示会などを含む一般宴会、特にMICE分野に注力するホテルが増えています。
MICEは、何百人〜何千人という規模で利用される事が多くリピート率も高いため、ホテルにとっては非常に大きな売上となります。
宿泊・料飲・観光を含めた大きな経済効果が期待でき、ホテル全体の売上拡大にも直結。
宴会部門は、時代の変化に対応しながら成長が求められる、将来性の高い分野といえるでしょう。
②婚礼
現在、日本の結婚式は、ホテル・専門結婚式場・ゲストハウス・レストランをメインに行われています。
その中でもホテルウェディングは結婚式の定番のスタイルとなっており、ホテルの収入源の1つとして経営を支えています。
ここではホテルウェディングの特徴をお伝えしていきます。
①幅広い年齢層に対応可能
結婚式には、親族から友人・会社関係など幅広い年齢層の方が出席します。
ホテルでは、どのような方へも丁寧かつ、上質な接客を行う教育がなされているため、最高のおもてなしを提供する事ができます。
結婚する2人はもちろんの事、ゲストに与える安心感や期待感はホテルならではのものと言えるでしょう。
ただし、サービスの品質などにより力を入れている格式があるホテルは、ブランドや知名度があり費用が高くなる事も多くなります。
②様々な設備が充実
ホテルは、宿泊施設・レストラン・カフェ・美容室・写真館・花屋などの施設が充実しています。
その為、ホテル内のカフェで過ごせたり、美容室でヘアメイクをセットしてもらえたり、遠方から来るゲストが宿泊できたりと非常に便利。
バリアフリー設備が整っているので年配のゲストも安心です。
③宴会場・挙式のタイプが選べる
ホテルは宴会場の数も多く、様々な大きさやタイプがあり、1日に何組もの結婚式が行われます。
家族や親しい友人だけの少人数ウェディング〜100名以上の大人数での結婚式をするの事も可能。
また、ホテルウエディングは、教会式・人前式・神前式など挙式スタイルから自分が好きなスタイルを選べます。
ただし、ホテルの場合、いくつかのプランが用意されており、その中から決めていく事が多くなっています。
そのため、決まったプランやアイテムの中で選ばなければならない事も多くオリジナル感は出しにくいです。
◎婚礼は、ホテル経営を支える重要な収益源のひとつであり、ホテルウェディングは日本における結婚式の定番スタイルとして長年親しまれてきました。
幅広い年齢層のゲストに対応できる高い接客品質や、宿泊・レストラン・美容室などの設備が一体となった利便性は、ホテルならではの強みです。
また、少人数から大規模披露宴まで柔軟に対応でき、挙式スタイルも多彩な選択肢があります。
一方で、一定のプランに沿って進行するケースが多く、自由度に制限が出る場合も。
近年は婚礼市場が変化する中で、ホテルならではの安心感や総合力を活かした提案力が、今後さらに求められる分野といえるでしょう。
まとめ
ホテルの売上は、主に「宿泊部門」「料飲部門」「宴会部門」を軸に構成されており、一般的なシティホテルではそれぞれが約3割ずつを占めるバランス型の経営が多く見られます。
その中でも宴会部門は利益率が高く、ホテル経営を支える重要な存在です。
宴会部門の売上は、「一般宴会」と「婚礼」の2つに分かれ、近年ではブライダル市場の縮小を背景に、MICEを中心とした一般宴会へ注力するホテルが増えています。
MICEは大規模かつリピート性が高く、宿泊・料飲を含めたホテル全体の売上向上にも直結するため、今後も成長が期待される分野。
一方で、ホテルウェディングは依然としてホテルのブランド力やサービス品質を象徴する重要な事業であり、時代に合わせた新たな提案力が求められています。
転職を検討する際は、ホテルごとの売上構成や注力分野を知ることで、自分の経験やスキルを活かせる部門、将来性のあるキャリアパスをより具体的に描くことができるでしょう。
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2025.12.17

