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近年、ホテル業界では「DX」の導入が加速しています。

DXとはデジタルトランスフォーメーションの略で、最新のデジタルテクノロジーを活用し、会社のビジネスモデルや会社組織・サービスを変革する経営戦略の事を指します。

ホテル業界でのDXの目的は、ホテルの課題解決を目指し競争に勝ち抜く事・顧客満足度を高める事。

人と人との触れ合いを大切にしているホテル業界でも、人材不足など様々な課題を抱えており、業務の効率化やコスト削減などでDXが必要とされています。

チェックインの自動化やAIによる需要予測、顧客データを活用したマーケティングなど、デジタル技術を取り入れる事でサービスの質や業務効率が大きく変わりつつあります。

こうした変化は宿泊客にとって便利になるだけでなく、ホテルで働くスタッフの働き方や求められるスキルにも関係してきます。

そこで今回は、前回のホテル業界におけるDXの事例に続き、ホテルDXのメリット・デメリットなどをご紹介します。

 

 

 

     ホテルのDXとは?     

 

労働人口の減少が課題となっている日本。

更に、現在のホテル業界では人手不足・人材確保が大きな経営的な課題となっています。

ホテルならではの労働環境による人手不足に加えて、インバウンド需要・新規開業ラッシュによる人員不足などの課題が顕著に。

そのため、DXによる仕事の改善や人員不足の改善は、今後の宿泊業界において欠かせない要素と言えるでしょう。

DXとは、前述したように、デジタル化によるコスト削減・人件費削減・業務プロセスの改善していくだけでなく、ICT技術を活用しながらサービスや会社のビジネスモデル・会社組織を変革し、顧客満足度を高め、競合の優位性を確立する事を意味する経営戦略。

ホテルDXは、最新のデジタルテクノロジーを活用する事でビジネスモデルや業務などを変革させ、顧客へのより良いサービスの提供や、従業員の業務量や業務効率の改善を図る事を目的としています。

ホテル業界は、アナログな業務が多く、効率が悪いため業務量が増えてしまう事も1つの原因と考えられます。

そのため、DXを導入する事でご紹介した課題などが改善される可能性が高まりますし、複数のシステムを利用する事で、業務の軽減や効率化を図る事が今後更に必要となるでしょう。

 

 

ホテルDXの5つのメリット 

 

ホテルでDXの具体的なメリットを5つご紹介していきます。

 

 

①業務効率化による生産性の向上

 

前述したようにホテル業界は、アナログな業務も多く、効率の面から業務量が増えてしまう事もあります。

これまで紙などのアナログな方法でやっていた業務をデジタルツールに置き換える事で、作業時間を短縮でき業務をスムーズに進める事ができるようになります

その結果、人員の削減に繋げる事が可能に。

時間と労力をかけて行っていた業務がDX化される事で、より重要度の高い別の業務に時間を費やす事ができ、生産性の向上へと繋がります。

 

 

②サービスの向上

 

アナログで行なっていた業務や、管理していた顧客情報・マニュアルなどをデジタル化する事で、お客様へのサービスに時間が割けるため、より細やかなサービスを提供できるようになります。

サービスの品質が向上すれば、顧客満足度を上げる事ができリピーターとなっていくれたり、紹介客をえられたりする可能性が高くるでしょう。

 

 

③顧客のストレス軽減

 

ホテルのDXは、従業員など運営側だけでなく、利用するお客様へのサービス強化にも利用できます。

新型コロナウィルスはおさまったものの、まだその影響が残っており、直接の交流や接触を避ける傾向が強まっています。

更に世の中のIT化が進み、電話でのコミュニケーションややりとりを面倒だと感じ避ける人々が増えています。

デジタル化された問い合わせや予約受付システムは、いつでも好きな時間に利用できますし、チェックインやチェックアウトもスムーズで様々なストレスが軽減されます。

またAIチャットロボットなど、人間ではないデジタルツールを通じたコミュニケーションを利用する事で、気軽に問い合わせや相談ができるようになるでしょう。

 

 

④顧客体験の向上

 

これまでの宿泊や、他のホテルでの利用では体験した事のないような新しい体験を創出・提供する事で、利用するお客様に新鮮さや利便性を提供できます。

これにより、メリットを感じる事ができればリピート利用が期待できます。

後ほど事例でご紹介しますが、例えば、AIやロボットによる案内・お子様を飽きさせないデジタルツールの提供・来客を感知しチェックインをスムーズに行える・お土産店やカフェなどの飲食店で注文・相談をロボットで自動化する・リモートのセルフレジなどが挙げられます。

お客様にとって新しい体験になりますよね。

DXは単なるツールではなく、エンターテイメントの1つとしても取り入れる事ができそうです。

 

 

⑤働き方改革の促進

 

DX化すると、「働き方改革の促進」も可能になります。

業務の効率化によって、業務時間を削減する事ができますので、残業時間の減少が期待できます。

ホテル業界はシフトでの勤務が多くなりますが、365日・24時間営業している事からお客様が途絶える事がほぼありません。

そのため、常に複数の業務を同時に行わなければならないという事も多くあります。

業務のデジタル化によって、業務量が改善できれば自分の業務を軽減できたり、離れた場所でも仕事ができるようになるため、リモートワークの推進にも繋がります。

ホテルの現場職においてはリモートワークは難しいですが、営業部門や管理部門においては可能となるでしょう。

ホテルは、人手の確保が急務となっています。

DX化する事で、従業員の働ける環境を改善する事で、離職の抑制やモチベーションアップの期待もできます。

 

★このようにホテルのDX化には、経営側・顧客側にとって様々なメリットがあります。

人手不足の問題に対処し、労働負荷を軽減する事ができるため、より良いサービスをお客様に提供できるようになります。

またお客様にとっても、ホテルでの滞在をスムーズに快適に過ごせるメリットがあります。

DXの導入は、多くの課題を解決し競争に勝ち抜いていくために重要な選択と言えますが、メリットだけではなくデメリットもあります。

下記ではその内容についてお伝えしていきます。

 

 ホテルDXのデメリット5つ 

 

続いてホテルDXのデメリット5つをご紹介します。

 

 

①お客様にとって不便となる事も

 

前述したように、ホテルは対人との繋がりが非常に大切であり、おもてなしやサービス・癒しを求めて来館されるお客様も多くいます。

お客様によっては、機械化される事で、無機質で冷たい印象を受ける事も少なくありません。

また、年齢層の高いお客様であれば、機械に慣れていない事が多いため、使い方が分からず戸惑ってしまう方も多いでしょう。

スムーズに使えない・困った事があってもすぐに対応してもらえないなどデメリットと感じてしまう事もあります。

 

 

②DX人材の不足

 

DX化のためには、最新のデジタル技術やITの知識やスキルを持った人材が必要不可欠ですよね。

しかし、ホテルはサービス業でもあり、前述したように人と人との繋がりを大切にしておりアナログで業務を行うケースもまだまだ多くなっています。

そのため、社内に適した人材がおらず、DX化を推進たくてもスムーズに進める事ができない場合があります。

またDX化しても、従業員が使いこなせるようになるまでの教育に時間や手間がかかる事も。

業務をするにあたり、クラウドの共有システムの利用・オンラインでの対応・iPadの利用・WEB更新など、現場のオペレーションで使用するツールも増えています。

ホテルで働く従業員もIT分野のスキルアップをしていく事が必須となってくるでしょう。

 

 

③DX化のための資金が不十分

 

DX化のためには、まず既存業務のIT化が必要です。

運用が始まれば大きなメリットもあるDXですが、IT化のためには、新たなシステムやソフトウェアの導入が必要になります。

また、システムの選択やエンジニア対応、機材の購入など膨大なコストや手間もかかります。

DX化の推進には公的な補助金を活用できる場合がありますので、十分な予算は確保しつつ、無理なく導入を進めていく事が大切です。

 

 

④既存システムのIT化が難しい

 

これまで使用した既存システムの利用期間が長いと、中々DX化が進まないといった問題が起こります。

長年、同じシステムを使っていると、肥大化かつ複雑化してしまっている事も考えられます。

把握するのも困難な上に、新しいシステムに変更すると問題が生じる可能性もあり判断が難しくなるケースも。

一気にDX化を押し進めるのではなく、1つ1つ既存システムを把握し徐々にIT化を進めていくよう気をつけましょう。

 

 

⑤機械のトラブルに弱い

 

DX機器は、電気やサーバーなどのトラブルによって正常に動作しなくなる事があります。

ホテルでは、停電やトラブルなどで電気が止まってしまう事などもあり得ます。

DX化を推進するのであれば、そのような緊急事態にスムーズに対応できるように備えなければなりません。

DX化をしても、スタッフがスムーズに滞りなく対応できるように、日頃からオペレーションを周知しておく事は必須です。

 

      まとめ       

 

ホテル業界のDXについてご紹介させて頂きました。

人材不足や業務改善のためにも、ホテルでのDXは、今後の事業運営に欠かせないものとなるでしょう。

しかし、ただDX化を推進すれば良いというわけではありません。

前述したように、ホテルは対人との繋がりが非常に大切であり、おもてなしやサービス・癒しを求めて来館されるお客様も多くいます。

ホテルの業態やお客様が求めるサービスを見極めデジタル化していく事が大切です。

ホスピタリティに重きを置いている高級ホテルでは、全てをDX化してしまうのは難しいと思いますが、ビジネスホテルやカプセルホテルでは無人化の促進や非接触システムに需要があると言えるでしょう。

ホテル業は、サービス業となるため、ただDXを促進すれば良いというわけでなく、顧客が求めるデジタル化が重要になるでしょう。

DXを上手く導入する事によって従業員の負担が軽減される分、より重要な業務につけたりスムーズなサービスの提供や細やかな気遣いなどを提供する事ができます。

ホテルでのDXは、上手に取り入れれば大きなメリットがもたらされます。

しかし、ご紹介したようにデメリットもありますので、組み合わせなどの工夫をしながら推進していく事が大切になります。

2025.09.05