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近年、ホテル業界では「DX」の導入が加速しています。

DXとはデジタルトランスフォーメーションの略で、最新のデジタルテクノロジーを活用し、会社のビジネスモデルや会社組織・サービスを変革する経営戦略の事を指します。

ホテル業界でのDXの目的は、ホテルの課題解決を目指し競争に勝ち抜く事・顧客満足度を高める事。

人と人との触れ合いを大切にしているホテル業界でも、人材不足など様々な課題を抱えており、業務の効率化やコスト削減などでDXが必要とされています。

チェックインの自動化やAIによる需要予測、顧客データを活用したマーケティングなど、デジタル技術を取り入れる事でサービスの質や業務効率が大きく変わりつつあります。

こうした変化は宿泊客にとって便利になるだけでなく、ホテルで働くスタッフの働き方や求められるスキルにも関係してきます。

そこで今回は、ホテル業界におけるDXの意味や実際の事例などをご紹介します。

ホテル業界でキャリアを積みたい方は、是非参考にしてみて下さいね。

ホテルDXのメリット・デメリットは→こちら

 

 

 

     ホテルのDXとは?     

 

労働人口の減少が課題となっている日本。

更に、現在のホテル業界では人手不足・人材確保が大きな経営的な課題となっています。

厚生労働省が発表した「令和5年雇用動向調査結果の概況」のデータによると、令和5年上半期の宿泊業・飲食サービス業の離職率は約26.9%。

他のサービス業と比較すると、宿泊業・飲食サービス業の離職率は1番高くなっていました。

主な原因としては、下記2つが挙げられます。


①ホテル業界特有の労働環境
離職率が高くなってしまう原因には、長時間労働・休日取得日数の少なさ・夜勤含む不規則な勤務形態など挙げられます。


②インバウンド需要の見込みと、日本人の富裕層も増加傾向などの理由から、都内・地方では高級ホテルが続々と開業。

最近では地方への積極的な出店も相次いでいます。

開業や売上を伸ばしている一方で、人材の確保が追いついていないという面もあります。

 

ホテルならではの労働環境による人手不足に加えて、インバウンド需要・新規開業ラッシュによる人員不足などの課題が顕著となっています。

そのため、DXによる仕事の改善や人員不足の改善は、今後の宿泊業界において欠かせない要素と言えるでしょう。

DXとは、前述したように、デジタル化によるコスト削減・人件費削減・業務プロセスの改善していくだけでなく、ICT技術を活用しながらサービスや会社のビジネスモデル・会社組織を変革し、顧客満足度を高め、競合の優位性を確立する事を意味する経営戦略。

ホテルDXは、最新のデジタルテクノロジーを活用する事でビジネスモデルや業務などを変革させ、顧客へのより良いサービスの提供や、従業員の業務量や業務効率の改善を図る事を目的としています。

ホテル業界は、アナログな業務が多く、効率が悪いため業務量が増えてしまう事も1つの原因と考えられます。

そのため、DXを導入する事でご紹介した課題などが改善される可能性が高まりますし、複数のシステムを利用する事で、業務の軽減や効率化を図る事が今後更に必要となるでしょう。

まずはデジタル化→DX化という流れで進めていく事になります。

 

 

デジタル化の流れ

 

①各業務のデジタル化

・各セクションのアナログな業務→デジタル化

・紙ベースで行っていた業務をデジタルベースへ変換

 ↓

②業務フローやプロセスのデジタル化

・AIチャットロボット
・人感センサーの設置
・サイトコントローラー
・ホテル管理システム(PMS)の導入による予約
・フロント業務の一元管理化など

 ↓

③ホテル経営全体のデジタル化

・複数システムの導入
・非接触型、非対面型システムの導入

 

 

   ホテルのDXの事例    

 
では実際にホテルのDXにはどのようなものがあるでしょうか。
 
具体例をご紹介していきます。
 
 

①非対面・非接触のチェックイン・チェックアウト

 

従来、チェックインチェックアウト、宿泊者名簿への記入・ルームキーの受け渡し・お会計などは、フロントスタッフが対面で行っていました。

しかしDX化により、最近では自動チェックイン機でのチェックインが当たり前になっています。

顔認証やQRコードを読み込む事でチェックインができるシステムの導入により非対面のチェックインが可能になったり、受付ロボットやタブレット・アプリなどによる自動チェックイン・チェックアウトができるホテルが増えています。

ルームキーもカード式で、自動チェックイン機から発行される事が多くなっています。

 

 

②人感センサーの設置

 

お客様の入退場を感知する人感センサーの導入により例えば下記のように利用ができます。

 

*チェックイン・チェックアウトの迅速な対応
人感センサーにより、検知と同時にフロントスタッフに通知されると、スタッフがフロントに常駐していなくても、宿泊客が入館する頃にはスタッフが宿泊客を迎え入れられるように。

 

*清掃やメンテナンスを効率よく行える
大浴場の入り口に設置して、利用者数を管理。

利用人数が一定数以上になると、清掃スタッフに通知され効率的に清掃を行う事ができます。

 

*省エネの実現
ホテルでは、電力や空調などで膨大な地球資源を使用しています。

人感センサー付き照明・空調機の変風量制御の導入サービスを利用すれば、お客様の不在状況を感知しする事で、不在時に照明が消えたり、空調がヒートラン(予冷・予熱)運転に切り替わるようになっているので省エネ・資源の削減ができます。

人感センサーを使用する事で省エネを実現できるので、コスト削減だけでなく、SDGsへの取り組みの1つでもある環境への配慮も同時に行えます。

 

 

②AIチャットボットの利用

 

AIチャットボットとは、人に代わって応答業務をしてくれるロボットで、データやログ・会話内のキーワードなどを基に自己学習したAIが、質問に対して自動的に回答するプログラム。

多言語対応のために翻訳・通訳ツールを活用する事ができ、インバウンド対応に役立ちます。

また、ホテル周辺のレストランや観光案内などをできるようにしておけば、顧客体験の向上にも繋がりますし、コンシェルジュの仕事やフロントの仕事を軽減でき、メイン業務に多くの時間を使えます。

 

 

③掃除・配膳ロボットの導入

 

ホテルにとって、なくてはならない存在の清掃スタッフや飲食部門での配膳スタッフ。

清掃ロボットを導入すれば、清掃作業にかかる時間は大幅に短縮します。

ロボットでも清掃が可能なエリアが沢山あるため、ロボットを導入する事で掃除作業を効率化でき、人手不足の対策として期待されています。

また、レストランでは配膳ロボットの導入する事で人出不足も解消できますし、お客様との接触を最小限に抑える事ができるため、衛生面でも貢献しています。

 

 

④クラウド型PMSの導入

 

ホテル管理システム(PMS)は、チェックインやチェックアウトの管理・顧客情報・客室情報・予約の管理・販売管理・売上管理などの一元管理をするもの。

リアルタイムで、ホテル内のあらゆる部門の情報共有や分析を可能にするシステムで、迅速なサービスを可能にできるため、顧客満足度の向上と業務の効率化が実現されています。

 

★内閣府の資料によると、下記のようなホテル業向けの「ITツール例」があります。

①従業員間のインカムでの連絡

②従業員間の業務用スマホ・タブレットでの連絡

③オンラインでの顧客情報の共有化(グループホテル間・従業員間)

④データベースでの宿泊予約・顧客管理

⑤予約・客室管理・請求までを一括管理できるシステムの導入

⑥サイトコントローラー(複数の宿泊予約サイトを一元管理できるシステム)の利用

⑦セルフチェックイン・チェックアウトの導入

⑧客室にスマホ・タブレット端末を設置、客室用スマホの貸出

⑨客室に設置したタブレット・スマホ等での多言語表示

⑩宿泊履歴から顧客情報を管理

⑪勤怠入力の機械化

⑫スマホ・タブレットでのマニュアル共有

⑬会計ソフトと給与計算システムの連携

⑭IT活用に関する勉強会・セミナーの開催・参加

⑮近隣宿泊施設とのIT活用ノウハウの共有


(※参照:内閣府経済社会総合研究所 宿泊施設における IT 活用と生産性に関する研究 2021年4月

 

 

ホテルDXの基本は顧客満足度の向上 

 

ホテルにおけるDXの基本は、顧客満足度の向上・お客様を一番に考える事です。

ホテルはサービス業の最高峰とも言われており、人と人の繋がりが非常に大切です。

ホテルを選ぶ基準は人それぞれ異なりますが、お客様によっては、おもてなしやサービス・癒しを求めて来館されるという方も多くいます。

そのため、機械化される事で、ホテルならではのホスピタリティを受ける事ができず、無機質で冷たい印象を受けてしまったり不満を感じさせてしまう事も少なくありません。


新しいデジタル技術の導入や経営に関する抜本的なDX(変革)を導入する際には、どのようにお客様にとってメリットになるのか、お客様が求めるサービスを見極めDXを推進していく事が大切です。

ホテルで1番大切な「おもてなしの心」に基づくサービス提供といったソフト面は大切にしつつ、IT化の導入・活用といったハード面を組み合わせる事で、より良いサービスの提供をしていく事が求められます。

 

      まとめ       

 

ホテル業界のDXについてご紹介させて頂きました。

人材不足や業務改善のためにも、ホテルでのDXは、今後の事業運営に欠かせないものとなるでしょう。

しかし、ただDX化を推進すれば良いというわけではありません。

前述したように、ホテルは対人との繋がりが非常に大切であり、おもてなしやサービス・癒しを求めて来館されるお客様も多くいます。

ホテルの業態やお客様が求めるサービスを見極めデジタル化していく事が大切です。

ホスピタリティに重きを置いている高級ホテルでは、全てをDX化してしまうのは難しいと思いますが、ビジネスホテルやカプセルホテルでは無人化の促進や非接触システムに需要があると言えるでしょう。

ホテル業は、サービス業となるため、ただDXを促進すれば良いというわけでなく顧客が求めるデジタル化が重要になるでしょう。

DXを上手く導入する事によって従業員の負担が軽減される分、より重要な業務につけたりスムーズなサービスの提供や細やかな気遣いなどを提供する事ができます。

ホテルでのDXは、上手に取り入れれば大きなメリットがもたらされます。

しかし、ご紹介したようにデメリットもありますので、組み合わせなどの工夫をしながら推進していく事が大切になります。

 

 

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2025.09.05