
今回は、前回のコラムに続いて、現在の日本のホテルの現状や今後についてお伝えしていきます。
日本のホテルの歴史
日本で最初にホテルが建設されたのは1860年。
その後、飛躍的に増えたのは、第二次世界大戦後(1945年〜)の経済復興期になります。
1960年代高度成長期に入ると、日本国内ではホテルの第一次開業ブームを迎えます。
新幹線の開業や海外旅行の自由化、東京オリンピックやIMF(国際通貨基金)の総会の開催に伴い、多くの要人や観光客を迎え入れられる、一流のサービスを提供できる宿泊施設が求めらるように。
ホテルラッシュの始まりとなり現在に至ります。
*参考コラム*
【ホテルの歴史①】日本のホテルの始まりは?
現在の日本のホテルの数
<平成29年>
前年度より301軒増
10年前の平成19年度と比較すると、ホテル軒数は960軒増で10.2%増となっています。
おおよそですが、ホテルは1万軒強・旅館は4万軒弱となっており、ホテル営業数は年々増加しているものの、旅館営業数は年々減少しています。
その後公布された旅館業法の法改正により、「旅館営業」「ホテル営業」の営業種別が統合し「旅館・ホテル営業」となったため、「ホテル・旅館」の軒数は下記の数字となっています。
(参考:厚生労働省 2022年度 旅館・ホテル営業の施設数・客室数及び簡易宿所の施設数)
客室数の合計数 :177万752室
日本のホテルの現在の動向
総務省が公表したサービス産業動向調査では、2024年2月分(速報)の宿泊業(飲食業含む)の売上高は、前年同月比11.1%増の2.4兆円となっていました。
(※参照:総務省 サービス産業動向調査)
日本の宿泊数は、2022年10月にコロナ禍の水際対策の緩和・入国者数の上限撤廃・個人旅行の解禁等により大きく増加しており、下記の通りとなっています。
2023年の延べ宿泊者数
5億9,275万人泊(前年比+31.6%)
日本人延べ宿泊者数
4億7,842万人泊(前年比+10.2%)
外国人延べ宿泊者数
1億1,434万人泊(前年比+592.8%)
(※参考:観光庁「宿泊旅行統計調査」)
また、訪日外国人旅行消費額を早期に5兆円(令和元年実績:4.8兆円)・国内旅行消費額を早期に20兆円、令和7年までに22兆円にする(令和元年実績:21.9兆円)などの計画を立てています。
(※参照:国土交通省 観光立国推進基本計画)
インバウンド需要の見込み・日本人の富裕層も増加傾向などから、外資系ホテルを含め日本全国でも続々とホテルが開業しており、ホテル同士の競争が激化しています。
宿泊業界の市場規模も今後上昇していくと予想されます。
一方で、近年では、一般の民家に宿泊する「民泊」などの需要が増えてきています。
常に進化し続ける顧客のニーズに対応し、快適な滞在を提供するために、価格競争やサービスの差別化が求められていると言えるでしょう。
日本のホテル業界の今後
①外資系ホテルの進出
前述したように、今後も日本では更なる外資系ホテルの開業が予定されています。
特に日系ホテル(国内勢)が対峙する外資系ホテルには、世界4大チェーンと呼ばれている下記のホテルなどがあります。
①マリオット・インターナショナル
②ヒルトン・ワールドワイド・ホールディングス
③アコーグループ
④IHGホテルズアンドリゾーツ
(インターコンチネンタルホテルズグループ)
世界4大ホテルチェーンと言われるホテルは、ラグジュアリーホテルが多く、傘下に多数のブランドを保持し世界にチェーン展開しています。
資本が安定しておりブランド力も非常に強いという特徴があります。
現在の日本では、ご紹介した4大ホテルチェーンを含め、1室1泊5万円前後の宿泊料がかかる外資系ラグジュアリーホテルが日本全国で続々と誕生しています。
外資系高級ホテルは、これまでは東京・京都・大阪といった都心部を中心に進出していましたが、インバウンド需要の見込みと日本人の富裕層も増加傾向などの理由から、最近では地方への積極的な出店も相次いでいます。
2023年以降の日本での外資系ホテルの出店は、全国で8割超えとなっており、2023年〜2024年の2年間で日本国内での高級外資系ホテルブランドの開業予定は30施設に及んでいます。
国際的な知名度や有名な最高級ホテルがあれば、安心して訪日できるといった富裕層を含めた外国人観光客が増えるという目的もあるでしょう。
外資系ホテルというと、高級感ホテルを思い浮かべる方もいるかもしれませんが、日本国内ではシティホテルやリゾートホテル、ビジネスホテル型のホテルも運営されています。
開業や売上を伸ばしている一方で、人材の確保が追いついていないという面もあり、多くの外資系ホテルで採用を積極的に行っています。
*参考コラム*
②日本のホテルのチェーン化
日本にある殆どの外資系ホテルはチェーン展開していますが、日系ホテルは単独型が多く、チェーン展開はまだ2〜3割程度となっています。
サービスなどの品質が一定しており、コストをあまりかけずに効率的な経営ができるなどスケールメリットを生かしたビジネスができるため、今後日本でもチェーン化が進んでいくでしょう。
③多様化するホテル業態
日本のホテルは、主に「シティホテル 」「ビジネスホテル」「リゾートホテル」の3タイプでしたが、近年の旅行スタイルの多様化から様々な業態のホテルが誕生しています。
テーマパークやショッピングアーケードなど他の業態と複合している複合ホテル、都心にありながらリゾート気分を味わえるアーバンリゾートホテル、空港構内にあるエアポートホテル、会員制リゾートホテル、多様なニーズを捉えたデザインやサービスなどの専門性を持った、付加価値の高いブティックホテル などがあります。
また、外資系ホテルの開業が相次ぐ一方で、日本では経済格差が広がっている事や、Inn(小規模で安く利用できる宿)とHOTEL(大規模で高級な宿泊施設)を使い分ける人が増えている事から、低価格で宿泊できる宿泊特化型ホテルも今後更に増えていくのではないかと思われます。
旅行スタイルの多様化や外国人観光客が増え続けている事から、ユーザーのニーズに対応できるような様々なホテルが増えていくでしょう。
まとめ
今後も訪日外国人の増加、日本人のライフスタイルの変化、外資系ホテルの相次ぐ進出、旅館経営の近代化の遅れなどから、ホテル営業数の方が様々な形で数を増やしていく可能性があります。
「外資系ホテルVS日系ホテル」の構図がより鮮明になってきており、このような動きは更に加速していくものと思われます。
これからホテル業界で働きたいと考えている方は業界研究の1つとして是非参考にして下さいね。
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2024.12.17