ホテル業界に転職したいと思っていても、歴史や成り立ちについては意外と知らない方も多いのではないでしょうか。
業界をより詳しく知るためにも、その成り立ちや歴史などを把握しておく事も大切になります。
そこで、今回は、日本のホテルの始まり〜歴史についてお伝えしていきますので、これからホテル業界で働きたい方は参考にしてみて下さいね。
日本のホテルの歴史
日本で最初にホテルが建設されたのは1860年。
その後、飛躍的に増えたのは、第二次世界大戦後(1945年〜)の経済復興期になります。
1960年代高度成長期に入ると、日本国内ではホテルの第一次開業ブームを迎えます。
新幹線の開業や海外旅行の自由化、東京オリンピックやIMF(国際通貨基金)の総会の開催に伴い、多くの要人や観光客を迎え入れられる、一流のサービスを提供できる宿泊施設が求めらるように。
ホテルラッシュの始まりとなりました。
1860年代〜
日本で初めて開業したホテルは、「横浜ホテル」です。
きっかけは、ペリーによる1859年に横浜港の開港。
鎖国を解いた後、外国船の受け入れを始め横浜には多くの外国人が来航しました。
しかし、日本独特の畳や布団の宿泊施設では合わなかったため、オランダ船の元船長フフナーゲルによって、横浜開港からわずか半年後の1860年にホテルが建設されました。
その後、海外からの要人を受け入れるためにホテルが求められ、幕府の要請により少し遅れて1868年に「築地ホテル館」が開業しましたが、両ホテルとも木造建築だったため、火災によって開業から数年で焼け落ちてしまい現存していません。
その後、急激にホテルが増える事はなく、1890に「帝国ホテル」が開業するまでは本格的なホテルは建設されませんでした。
日本のホテルが本格的に建設され始めたのは、1964年の東京オリンピックがきっかけになります。
1870年代〜
1873年に、アメリカ人宣教医ヘボン博士が日光を訪れた際に、今後の訪日外国人の増加を見据えてホテル開業を勧められ、東照宮の雅楽師を務めていた金谷善一郎が開業したのが、「金谷カテッジイン」
現在の「日光金谷ホテル」の始まりです。
その後1878年、慶應義塾の福沢諭吉から国際観光の重要性を解かれ、山口仙之助によって箱根・宮ノ下に日本で初めての本格的なリゾートホテルとして「富士屋ホテル」が開業しました。
外国人を対象としたホテルを目指し、外国人向けの様々な工夫が施されており、ヘレンケラー氏やチャーリー・チャップリン氏等、多くの海外の著名人にも愛されてきました。
1890年代〜
1890年に「帝国ホテル」など都市部には幾つかのホテルが開業されましたが、終戦後は連合軍によって接収され営業が休止。
国際連盟への加盟を果たし、経済復興が本格化するにつれて営業を再開するようになりました。
1960年代〜:経済成長
1960年代に入り、日本国内ではホテルの第一次開業ブームを迎えます。
新幹線の開業や海外旅行の自由化、また1964年の東京オリンピックや同じ年に日本で開催されたIMFの総会に伴い、多くの要人や観光客を迎え入れられる、一流のサービスを提供できるホテルが求めらるようになりました。
1960年
「ホテルニュージャパン(赤坂)」「東急ホテル(銀座)」
1962年
「ホテルオークラ東京」
1963年
日本初の外資系ホテル「東京ヒルトンホテル」
1964年
「ホテルニューオータニ東京」「東京プリンスホテル」「羽田東急ホテル」
が相次いで開業。
1970年代〜
1970年には大阪万国博覧会や東名高速道の開通、1972年には札幌で冬季オリンピックの開催などにより第二次開業ブーム。
国際的なイベントが日本国内で開催された事により、外国人観光客や日本人を対象としたホテルの建設が相次ぎました。
1971年には「京王プラザホテル」が開業し、超高層ホテル時代の幕開けとなります。
1960年~1970年代の高度成長期から、1980年代に世界各国の著名人を集めたサミットが東京で開催された頃には、「帝国ホテル」「ホテルオークラ東京」「ホテルニューオータニ東京」が日本のホテル御三家と呼ばれ、長く日本の高級ホテル市場を牽引。
世界レベルの評価を得ており、現在の日本の3大高級ホテルとも言われています。
1990年代〜
バブル崩壊と共に、企業は交通費・交際費・広告費の「三K」を削減するようになり、今までの料飲型・宴会型のホテルの経営が傾き、「東横イン」「ルートイン」などの宿泊型形態のホテルが登場。
活発にチェーン展開を進めました。
また、「パークハイアット東京」「ウェスティンホテル」など新御三家にも入っている外資系ホテルなどが都市部に進出。
順調に業績を伸ばし、「御三家」含め、日系ホテルは苦戦を強いられるようになってきました。
2000年代〜
2000年代に入ると、都内での都市開発が進み、外資系ホテルの進出が相次ぎました。
2003年
「グランドハイアット東京(六本木)」
2005年
「コンラッド東京(汐留)」、新々御三家と呼ばれる「マンダリンオリエンタルホテル東京」
2007年
「ザ・リッツ・カールトン東京」、「ザ・ペニンシュラ東京」が開業。
2009年
「シャングリ・ラ東京」
2014年
「アマン東京」「アンダーズ 東京」「コートヤード・バイ・マリオット東京ステーション」が開業。
2008年のリーマンショックにより、先に紹介した「宿泊特化型ホテル」などの差別化競争が始まり、デザイン性やサービスの付加価値などを追求したホテルが増え始めています。
2015年〜
外資系ホテルの開業に対峙するため、国内の既存ホテルも積極的にリノベーションに取り組むようになります。
宴会部門の強化や客室・宴会場の大規模改修などが行われリニューアルオープンするホテルが増えました。
2015年
「三井ガーデンホテルプラナ東京ベイ」「山のホテル」
2016年:「リーガロイヤルホテル京都」「星のや京都」
また、新たに東京都内でも
2015年
「ホテルリズベリオ赤坂」「リッチモンドホテルプレミア押上」「リッチモンドホテルプレミア浅草インターナショナル」
2016年
「三井ガーデンホテル京橋」「星のや東京」「ザ・プリンスギャラリー 東京紀尾井町」「ホテルサードニクス上野」
などのホテルがニューオープン・リニューアルオープンしています。
2022年〜
2022年10月にコロナ禍の水際対策が緩和されて以降、多くの外国人が日本を訪れるようになった事もあり、1室1泊5万円前後の宿泊料がかかる外資系ラグジュアリーホテルが、日本全国で続々と誕生するように。
また、インバウンド需要の見込みと、日本人の富裕層も増加傾向などの理由から、都内・地方では高級ホテルが続々と開業。
外資系高級ホテルは、これまでは東京・京都・大阪といった都心部を中心に進出していましたが、最近では地方への積極的な出店も相次いでいます。
2023年以降の日本での外資系ホテルの出店は、全国で8割超えとなっており、2023年〜2024年の2年間で日本国内での高級外資系ホテルブランドの開業予定は30施設に及んでいます。
国際的な知名度や有名な最高級ホテルがあれば、安心して訪日できるといった富裕層を含めた外国人観光客が増えるという目的もあるでしょう。
外資系ホテルというと、高級感ホテルを思い浮かべる方もいるかもしれませんが、日本国内ではシティホテルやリゾートホテル、ビジネスホテル型のホテルも運営されています。
相次ぐ外資系ホテルに対し、日系ホテルも様々な対策でブランディングの強化に取り組んでいます。
※参照※
1866年:築地ホテル館
1873年:日光金谷ホテル
1878年:富士屋ホテル
1890年:帝国ホテル(御三家)
・
1960年:銀座東急ホテル
1960年:ホテルニュージャパン
1961年:パレスホテル
1962年:ホテルオークラ東京(御三家)
1963年:東京ヒルトンホテル
1964年:ホテルニューオータニ東京(御三家)
1964年:東京プリンスホテル
1969年:赤坂東急ホテル
1971年:京王プラザホテル
1971年:ホテルパシフィック
1972年:ホテルグランドパレス
1972年:銀座第一ホテル
1977年:新宿プリンスホテル
1978年:品川プリンスホテル
1980年:ホテルセンチュリーハイアット
1983年:新宿ワシントンホテル
1984年:キャピトル東急ホテル
1984年:東京ヒルトンホテル
1984年:六本木プリンスホテル
1985年:ホテルメトロポリタン
1986年:東京全日空ホテル
1988年:リッチモンドホテル目白
1989年:ロイヤルパークホテル
1990年:ホテルラフォーレ東京
1991年:目黒雅叙園
1992年:フォーシーズンズホテル
1992年:ホテル椿山荘(新御三家)
1994年:パークハイアット東京(新御三家)
1994年:ウェスティンホテル東京(新御三家)
1995年:ホテルインターコンチネンタル東京ベイ
1998年:小田急ホテルセンチュリーサザンタワー
2000年:渋谷エクセルホテル東急
2001年:セルリアンタワー東急ホテル
2002年:セレスティンホテル
2003年:グランドハイアット東京
2003年:ストリングスホテル東京
2003年:ロイヤルパーク汐留タワー
2003年:パークホテル東京
2004年:ヴィラフォンテーヌ汐留
2004年:メルキュールホテル銀座東京
2005年:コンラッド東京
2005年:マンダリンオリエンタル東京(新新御三家)
2007年:ザ・ペニンシュラ東京(新新御三家)
2007年:ザ・リッツ・カールトン東京(新新御三家)
2010年:ザ・キャピトルホテル東急
2012年:パレスホテル東京
2013年:東京マリオットホテル
2014年:アンダーズ 東京
2014年:コートヤード・バイ・マリオット東京ステーション
2016年:星のや東京
まとめ
日本のホテルの歴史に関してお伝えしました。
今後更に、訪日外国人の増加や日本人のライフスタイルの変化、外資系ホテルの相次ぐ進出、旅館経営の近代化の遅れなどから、ホテルが様々な形で増えていく可能性があります。
次の記事では、ホテル業界の現在の動向や今後に関してお伝えしていきます。
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2024.12.17