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ホテルと旅館は、同じ“宿泊施設”でありながら、全国にどれくらいの数があるのか、そしてそれぞれにどんなメリット・デメリットがあるのかを知っておくことは、転職先を選ぶ上でとても大切です。

働く環境や求められるスキルは、施設の規模や提供するサービスの方向性によって大きく異なります。

この記事では、日本にどれほどホテルと旅館が存在するのかというデータから、それぞれの強み・弱み、向いている働き方までを分かりやすく整理。

自分に合った職場を見極めるためのヒントをお伝えします。


・ホテルと旅館の違いについては→
こちら

 

目次
 

 

   日本にあるホテルと旅館の数   

 

ホテルと旅館は、同じ宿泊業でも施設数の推移や分布に大きな違いがあります。

どれだけの数が存在するのかを知ることは、業界のトレンドや将来性をつかむうえでとても重要なポイントです。

特に転職を考える際には、「増えている業態なのか」「どんな施設で働く人が多いのか」を把握しておくことで、自分に合った職場選びの精度が高まります。

法改正前の統計では「ホテル」と「旅館」が別々に集計されており、2018年時点では ホテルが1万軒強、旅館が4万軒弱 という内訳でした。

しかし、2018年の旅館業法改正で「ホテル」と「旅館」がまとめて“旅館・ホテル営業”として扱われるようになりました。

その為、2024年度の日本には 約5万1千軒のホテル・旅館 があり、客室数は約178万室となっています。

直近の傾向としては、ホテルは増加、旅館は減少と逆の動きを見せています。

(参考:厚生労働省 2024年度 旅館業の概要

 

 

日本にあるホテルの数と旅館の数    

(※2017年)

 

<ホテル営業数>
1万402軒
前年度より+301軒

客室数:90万7,500
前年度より+3万7,690室

10年前の2007年度と比較すると、+10.2%

 

 
*東京にあるホテル例*

 

1:帝国ホテル東京
2:ホテルオークラ東京
3:ホテルニューオータニ東京
4:パークハイアット東京
5:フォーシーズンズホテル椿山荘東京
6:ウェスティンホテル東京
7:マンダリンオリエンタルホテル東京
8:ザ・リッツ・カールトン東京
9:ザ・ペニンシュラ東京

 

 

<旅館営業数>
3万8千622軒
前年度より−867軒

客室数は:68万8,342
前年度より−3,620室

10年前の2007年度と比較すると、−26.1%

 

*東京にある旅館例*

 

1:星のや東京
2:前野原温泉 さやの湯処
3:プロスタイル旅館 東京浅草
4:ONSEN RYOKAN 由縁 新宿
5:天然温泉 凌雲の湯 御宿 野乃 浅草

 

 ホテルと旅館それぞれのメリット 

  

旅行や仕事などで利用されるホテルと旅館。

ホテルが増加傾向である一方で、旅館は減少傾向にあります。

まずは、お客様目線・転職者目線でのメリットをご紹介していきます。

 

 

ホテルのメリット(お客様目線)   


ホテルのメリットは、客室数が多いため急な宿泊に対応できる事や、オートロック・防音対策など、プライバシーやセキュリティが重視されているので部屋で安心してゆっくり過ごす事ができる点などが挙げられます。

客室の機能性も高いため、トイレや浴室など必要な設備や、アメニティなどの備品が充実しており快適に過ごす事ができます。

また、基本的には食事がついていない事が多いので、深夜のチェックインに対応してくれたり、好きな時間に食事ができるなど融通が利きます。

様々な設備も充実しており、ジムやプール・SPAやエステなどが備え付けられていたり、ホテル内のバーでお酒を飲んだりする事も可能です。

自分の好きなサービスを自分で選ぶ事ができますので、自分の時間を大切にしたい・楽しみたいという方には大きなメリットがあると言えるでしょう。

 

 

ホテルのメリット(転職者目線)   

 
・キャリアパスが明確
(フロント・宿泊・料飲・管理など部署が細かく分かれ、専門性を高めやすい)

・施設数が増加傾向で求人数が多い

・日系、外資系、大型、リゾートホテルなど働く環境の選択肢が広い

・語学力や接客スキルを活かしやすい

 

 

旅館のメリット(お客様目線)    

 
旅館のメリットは「行き届いた手厚いおもてなし」「細やかな気配り」を受ける事ができる点です。

旅館には通常、女将と仲居さんがおり、到着すれば女将さんが温かく出迎えてくれチェックアウトの際も気持ちよく送り出してくれます。

チェックイン後は仲居さんが荷物を室内まで運んでくれ、お茶を出してくれたり観光スポットなどについて教えてくれます。

食事や布団の準備も仲居さんが丁寧に行ってくれるため、ゆったりとした時間を過ごす事ができます。

旅館では、地元の食材を使った郷土料理や、旅館ごとの異なった温泉施設などそれぞれ特徴があるため、その旅館へ行くのが楽しみという方も多くいるでしょう。

豪華な食事や見晴らしのよい露天風呂など非日常的な時間を過ごす事も。

人と人のコミュニケーションを大切にした、人の手による温かみのあるサービスを受ける事ができる点は旅館の大きなメリットです。

 

 

旅館のメリット(転職者目線)    


・仲居、客室係などが一貫して担当するため、お客様との距離が近くやりがいが大きい

・和のおもてなし文化を学べる

・小規模施設が多く、チームで連携しながら働ける

・リピーターが多く、お客様と長期的な関係を築きやすい

  

 

ホテルと旅館それぞれのデメリット

 

ホテルと旅館にはそれぞれ魅力がありますが、選ぶ際には“デメリット”も把握しておくことが大切です。

サービスの受け方や過ごし方、施設のつくりなどによって、感じ方には大きな違いが出る場合があります。

続いて、ホテルと旅館それぞれにどんなデメリットがあるのかを分かりやすくご紹介していきます。

 

 

ホテルのデメリット(お客様目線)  

 

前述したように、ホテルは基本的には受動的なサービスとなるため、こちらから何かリクエストしないとおもてなしを受ける事は基本ありません。

その土地の魅力などについて話を聞いたり観光スポットを楽しむためには、自分から行動しないといけないため、物足りなさを感じてしまう方もいるかもしれません。

ただし、シティホテルやリゾートホテルの場合は、コンシェルジュやフロントスタッフに聞けば必ず詳しく親切に教えてくれます。

物足りないと感じる事もあるかもしれませんが、おもてなしの最高峰とも言われている「ホテル」。

何か困った事や相談事があった時には、満足のいく対応をしてくれるでしょう。

 

 

ホテルのデメリット(転職者目線)  


・部署が細分化されているため、業務領域が狭くなりがち

・24時間営業が多く、シフト勤務(夜勤含む)が必須

・忙しい時期はフロント・客室・料飲が同時に繁忙になりやすい

 

 

旅館のデメリット(お客様目線)   

 
旅館の場合は、こちらから頼まなくても、仲居さんが食事や布団の準備をするなど客室内でおもてなしをしてくれます。

そのため、ストレスを感じる事なく過ごす事ができますが、プライバシーがなく、落ち着かない・気になるという方もいるかもしれません。

また、温泉や露天風呂・大浴場があるため、客室に内風呂やシャワーなどが設置されていなかったり、洗面所やトイレなどが共用な事も多いのでこちらもプライバシーが気になる方にはデメリットになるでしょう。

 

 

旅館のデメリット(転職者目線)   


・人手不足の影響が大きく、1人あたりの業務量が増えやすい

・シーズンにより繁閑差が大きい

・客室係の場合、勤務時間が長くなりがち

・施設数が減少傾向で、地域によっては求人数が少ない

・アナログ対応も多い

 

ホテルと旅館は同じ宿泊施設でも、施設数の推移、提供するサービス、働き方には大きな違いがあります。

ホテルは設備の充実度や自由度の高さが魅力で、キャリアパスが明確なためスキルを磨きながら長く働きやすい環境が整っています。

一方、旅館は人と人の温かいコミュニケーションを重視したおもてなしが特徴で、お客様との距離が近くやりがいを感じやすいのが魅力です。 

 

      まとめ        

 
ホテルと旅館の、それぞれメリットやデメリットを、お客様目線・転職者目線でご紹介しました。

ホテルは設備や機能性が充実しており、プライバシー確保や自由度の高さが大きなメリット。

一方、旅館は温かみのある対面サービスや郷土料理、温泉など “その土地ならではの体験” を楽しめる点が多くのお客様に支持されています。

転職者目線では、ホテルは職種・キャリアパスの選択肢が広く、スキルを磨きながら長期的に働きやすい環境が整っていることが強み。

旅館はお客様との距離が近く、和のおもてなし文化を深く学べる点が魅力といえるでしょう。

一方で、ホテルは受動的サービスが中心で物足りなさを感じる人がいることや、24時間営業ゆえの働き方の厳しさがデメリット。

旅館はプライバシー面や設備面で不便を感じる可能性があるほか、働く側は人手不足による負担増などの課題もあります。

こうした違いを理解した上で、自分が求める過ごし方・働き方に合った施設を選ぶことが、満足度の高い宿泊体験やキャリア形成につながるでしょう。

 

 


 

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2025.12.11