
前回のコラムでは、ホテルウェディングの魅力や仕事内容などをご紹介しましたが、今回はホテルウェディング(ブライダル業界)の現状と課題などに関してお伝えしてきます。
これからホテルで働きたいという方は参考にしてみて下さいね。
・婚礼部門の仕事内容は→こちら
現在のホテルウェディングの課題と今後
かつて宴会婚礼部門は、景気にあまり左右されず安定した収入源となっていました。
しかし、下記のような理由から現在の婚礼市場は縮小しており、各企業で競争が激化しています。
①ブライダルマーケット縮小
②未婚率増加による婚姻数の減少
③経済不況や晩婚化によるナシ婚の増加
④晩婚化・顧客の価値観の多様化
⑤業務効率の悪さ・優秀な人材の離職
人口減少や少子高齢化により、「結婚する世代」全体が減少している事や、未婚率増加、経済不況などから婚礼件数の減少が顕著に。
また、晩婚化が進んでいる事や顧客の価値観の多様化から、今までの結婚式の形にとらわれず「オーダーメイド」「自分達らしさ」を重要視する人々も増えています。
その要望に応えるためには、経験を積んだ優秀な人材が必要となりますが、サービス業界である事や、ブライダルに関しては女性が多い業界である事から人材の定着が上手くいかないといった面も課題としてあります。
各企業の競争も激化しており、新しい市場の開拓や自社のブランディング力の強化による他社との差別化、集客戦略の見直し、またソフト面の強化として人材の育成や定着してもらえるような制度や仕組みを整えているホテルが増えています。
今後の婚礼市場
前述した内容を見ると、不安を感じる方もいるかもしれませんが、新型コロナウィルス収束に伴い、現在は回復傾向にあり婚礼件数も戻りつつあります。
近年では、フォトウェディングやガーデンウェディング、リゾートウェディング等が人気となっており新しい結婚式のスタイルやトレンドが変化し続けています。
今後新しいビジネスが生まれる可能性もあるでしょう。
多様化が進んだ事で、結婚式に対する意識が逆に高まったとも言え、定番の結婚式以外にも、このようなオリジナルな結婚式がこれからも増えていくのではないかと思います。
結婚式の形が増える程、需要も高まりますので、世の中のトレンドを見極め各企業が柔軟に取り組んでいく事が重要になるでしょう。
ホテルのブライダル戦略
このような状況下の中で、各ホテルでも下記のような様々なプランや取り組みを行っています。
①フォトウェディング
★特徴
・写真撮影だけを行う結婚式のスタイル
・費用が抑えられる(20~40万円程度)
・日程調整がしやすい(2~3ヶ月程度)
・一生の記念に残る
・ロケーションフォトは天候に左右される
フォトウェディングとは、挙式・披露宴の代わりに行うものでフォト婚とも呼ばれています。
ウエディングドレスやタキシード、和装など、結婚式で着る衣装・ヘアメイクで撮影を行います。
スタジオで撮影する場合と、ロケーションで撮影するケースがあります。
コロナ禍で結婚式を挙げられなかったカップル達に人気となり、現在の結婚式のスタイルの1つとして需要が増えてきています。
ホテルには、スイートルームや豪華なロビーなどフォトスポットが満載なため、フォト婚プランなどが充実しています。
★フォトウェディングができるホテル例★
・帝国ホテル
・ホテルオークラtokyo
・ホテル椿山荘東京
・京王プラザホテル
・ザ・プリンス・パークタワー東京
②ガーデンウェディング
★特徴
・屋外で行う結婚式の事
・貸し切り
・アットホームでプライベート感を味わえる
・開放的な空間で、リラックスして過ごせる
・会場のコーディネートを自由にできる
・真夏や真冬、梅雨の時期は避けたい
花や緑などの自然に囲まれ、太陽の光を浴び、開放的な結婚式を楽しめるのが魅力のガーデンウェディング。
ホテルやゲストハウスのガーデン、もしくはプライベートガーデンになり、こちらを貸し切って披露宴を行う事が多くなります。
バルーンリリースやビュッフェなど、屋外ならではの自由度の高い演出ができます。
ただし、季節や天候の影響も受けやすいため春や秋がおすすめです。
★ガーデンウェディングができるホテル例★
・ホテルニューオータニ
・アンダーズ東京
・リーガロイヤルホテル東京
・ホテル雅叙園東京
・グランドニッコー東京
③ブライダルフェア
結婚を考えているカップルを呼び込み、会場見学をしてもらい自社ホテルでの結婚式の実現を促すイベント。
内容は、宴会場のディスプレイ、模擬挙式や模擬披露宴、料理の試食や衣装の試着などになります。
ホテルでは、装花や衣装・フォトなども全て揃っているため様々な細かい相談に乗る事ができ流などのメリットもあります。
フェアに参加した上で婚礼予約が成立した場合には、特典を付けるなどして集客を図っています。
④多様化に対応したプランの提案
前述したようにホテルにはレストラン〜小規模の宴会場・大規模の宴会場と様々な会場があります。
そのため、「少人数婚」「家族婚」「ジミ婚」など時代に対応した結婚式の提案ができます。
また、近年では「離婚」がマイナスのイメージでなくなってきた事から再婚マーケット市場も伸びています。
⑤リピーター獲得のためのイベント企画
挙式を行なったホテルでは、婚礼後も長年にわたってレストランを利用してもらえる可能性があります。
例えば、結婚記念日や子供の誕生・お食い初め・お誕生日・七五三などの、人生のアニバーサーリーの際の会食などで長く利用する事ができます。
2世代・3世代と長く利用してもられるのはホテルならではですよね。
⑤人材の定着・育成
前述したように、今後様々な結婚式のニーズに対応するために、ますます「人材」が重要になってきます。
SNSなどの普及により、結婚式などの情報が誰でもタイムリーに見られるようになった事もあり、結婚する人たちの価値観も多様化しています。
場所や施設のハード面だけでなく、サービスやウェディングプランナーの魅力等ソフト面を重視するカップルが増加傾向に。
ウエディング業界のプロとして、どの職種の従業員も高い能力やスキルが必要となってきます。
そのため、ホテルでは、より多くの優秀な人材に定着してもらう事や人材育成が必要となります。
改善されてきてはいますが、ホテル(ブライダル)の仕事は、業務効率の悪さや体力的にハードな面も多く、人材が定着しないという面もあります。
従業員の育成や離職回避に力を入れると共に、IT化による業務の軽減や効率化や、福利厚生の充実など社内制度を整えるホテルが増えてきています。
⑥WEBによる集客戦略の強化
今までは、集客の戦略として、ブライダル専門の広告媒体を使っている事が殆どでした。
メジャーなウェディングの広告に載っていると多くの人の目に留まりますし、安心感もありますので集客の方法としては一般的です。
しかし、それだけでは他社との差別化が分かりにくく自社の魅力や強みが伝わりにくいという面もあります。
近年では、SNSで結婚式場やウェディングドレスを選ぶカップルも増えてきています。
現在多くのホテルで、Instagram・Twitter・FacebookなどのSNSで自社アカウントを持っており集客の手法として利用しています。
SNSや自社HP・ポータルサイトなど、各種WEBの更新や分析を行いSEO対策を行なっているホテルも増えているでしょう。
まとめ
ホテルウェディングの市場や今後等についてご紹介させて頂きました。
現在の婚礼市場は大変な面もありますが、結婚式は大切な人たちとの絆を確認できたり感謝を伝える大切な場でもある事から、今後もなくてはならないサービスであり続けるでしょう。
様々な変化や結婚するカップルの価値観やニーズを把握し、それにこたえる事で一生に一度の大切な日をプロデュースする重要な役割を持ち続ける事ができる業界であると思います。
新郎新婦や大切なゲストの方達と思い出の1日を提供するホテルウェディング。
ホテルで思い出に残るウェディングを演出したい!という方は是非弊社にご相談下さいませ。
2024.12.19