iryokan4.JPG
 

「旅館で働いてみたい」「和のおもてなしを学びたい」と考えたとき、意外と見落としがちなのが“旅館が多いエリア”という視点です。

実は、日本全国には何万軒もの旅館があり、都道府県ごとにその数や特徴は大きく異なります。

旅館が集中している地域ほど、求人数が多く、未経験から挑戦しやすい環境や、多様なキャリアパスが広がっているのも事実です。

本記事では、都道府県別の旅館軒数ランキングを分かりやすく紹介。

これから旅館業界への転職を考えている方は、ぜひ勤務地選びの参考にしてください。

 

 

目次

 

 

    日本の旅館の数はどの位?   


旅館業界への転職を考える上で、まず押さえておきたいのが日本にどのくらい旅館が存在しているのかという全体像。

施設数の多さは、求人の数や働き方の選択肢、エリアごとの特色にも直結します。

特に近年は法改正やインバウンド需要の変化により、旅館とホテルを取り巻く環境も大きく変化しています。

ここでは、厚生労働省の「衛生行政報告」をもとに、日本の旅館・ホテルの施設数や客室数の推移を整理し、旅館業界の現状を数字から見ていきましょう。

 

 

①日本のホテル・旅館の数(2022年)

 

 <ホテル・旅館の合計数>
 5万321軒

<客室数の合計数>
 177万752室

 

平成29年12月15日に公布された旅館業法の法改正により、「旅館営業」「ホテル営業」の営業種別が統合し「旅館・ホテル営業」となりました。

そのため「旅館のみ」の数字は把握できず、旅館とホテルの合計の数字となっています。

旅館業法の改正が施行される前の2017年は、「ホテル営業」と「旅館営業」が分かれていたため、下記では2018年10月発表の「衛生行政報告書」による、日本のホテルの数と旅館の数をお伝えしていきます。

 

 

②日本の旅館の数(2017年)     

 

①3万8千622軒
※前年度より−867軒

②客室数:68万8,342室
※前年度より−3,620室

10年前の2007年度と比較すると、軒数は−1万3,673軒。
26.1%減となっています。

 

 

③日本のホテルの数(2017年)    

 

①1万402軒
※前年度より+301軒


②客室数:90万7,500室
※前年度より+3万7,690室


10年前の2007年度と比較すると、軒数は+960軒。
10.2%増となっています。

 

おおよそですが、ホテルは1万軒強・旅館は4万軒弱。

ホテルは年々増加していますが、旅館は年々減少しています。

ホテルの数は旅館の数より少ないものの、1施設あたりの客室数が多くなっています。

 

下記でランキングをご紹介していきますが、前述したように、現在では別々での数字は把握できません。

そのため、旅館数ランキングに関しては2017年時点での数字、旅館数・ホテル数合計ランキングに関しては2022年の数字となっています。
 (参考:厚生労働省 2022年度 旅館・ホテル営業の施設数・客室数及び簡易宿所の施設数 / 国土交通省 観光庁

 

    全国の旅館数ランキング2017   

 

  エリア 件数
1 静岡県 2624
2 北海道 2195
3 長野県 2168
4 新潟県 1846
5 福島県 1317
6 東京都 1306
7 三重県 1295
8 栃木県 1250
9 山梨県 1213
10 千葉県 1138
11 兵庫県 1091
12 熊本県 1080
13 神奈川県 1003
14 大分県 987
15 群馬県 970
16 岐阜県 923
17 福井県 911
18 愛知県 874
19 鹿児島 856
20 大阪府 732


温泉地が多い県が軒数上位になっています。

 

 全国のホテル旅館数ランキング2022   

 

  エリア 件数
1 東京都 3774
2 沖縄県 3023
3 北海道 2942
4 静岡県 2571
5 長野県 2557
6 新潟県 1952
7 大阪府 1572
8 福島県 1438
9 兵庫県 1433
10 栃木県 1398
11 山梨県 1330
12 神奈川県 1299
13 三重県 1284
14 千葉県 1234
15 愛知県 1214
16 福岡県 1157
17 群馬県 1144
18 大分県 1018
19 熊本県 998
20 京都府 978

 

軒数上位は、主要都市や、温泉・スキーなどのレジャー施設がある観光客が多いエリアになっています。

 

  

   旅館・ホテル数の推移    


現在の日本では、コロナ禍の水際対策が緩和されて以降、多くの外国人が日本を訪れるようになり、インバウンド需要の見込みと日本人の富裕層も増加傾向などの理由から外資系ホテルの開業が相次いでいます。

その結果、旅館の数も減ってきている現状があります。

ここでは旅館の数の現状や推移についてご紹介していきます。

 

 

日本の宿泊業の現状          

 

2023年以降の日本での外資系ホテルの出店は、全国で8割超えとなっており、2023年〜2024年の2年間で日本国内での高級外資系ホテルブランドの開業予定は30施設に及んでいます。

1泊5万円前後の宿泊料がかかる外資系ラグジュアリーホテルも日本全国で続々と誕生しています。

また、東京・京都・大阪といった都心部だけでなく、地方でも積極的に高級ホテルが続々と開業。

国際的な知名度や有名な最高級ホテルがあれば、安心して訪日できるという富裕層を含めた外国人観光客が増える目的もあるでしょう。

旅館はこういったホテルに比べて、まだまだ世界共通のサービスに追いついていないという現状があります。

Wi-Fiの環境設備やホームページの多言語化対応、クレジットカード対応などが小規模な旅館ほど整備ができていないため、訪日外国人が利用しにくいという現状もあるのかもしれません。

 

 

旅館・ホテル数の推移          

 

平成30年の日本の宿泊施設数は、82,150施設となっています。

 

*旅館  :38,622 
*ホテル :10,402 
*簡易宿所:32,451
*下宿  :675

 

<平成26年〜平成30年の旅館数の増減>

平成26年:43,363軒

平成30年:38,622軒 = -11%

 

<平成26年〜平成30年のホテル数の増減>

 平成26年:9,809軒

平成30年:10,402軒 = +6% 

(参考:国土交通省 観光庁

 

数字を見ても分かるように、旅館の数は年々減り続けてる一方で、ホテルは年々増加傾向にあります。

 

      まとめ        

 

日本の旅館・ホテル業界は、法改正や観光需要の変化により大きな転換期を迎えています。

2022年度時点では「旅館・ホテル営業」として約5万軒が存在していますが、営業区分が統合されたことで、現在は旅館単体の正確な軒数を把握することはできません。

そこで本記事では、旅館とホテルが分かれて集計されていた2017年のデータをもとに、日本の旅館数やホテル数の実態を整理しました。

結果として、旅館は約3万8千軒とホテルより多いものの、10年前と比べて大きく減少しており、ホテルは増加傾向にあることが分かります。

この背景には、施設の老朽化や後継者不足、インバウンド需要への対応(外資系ホテルやビジネスホテルの開業が相次いでいる)など、業界特有の課題と変化があります。

旅館が多い地域は今なお求人ニーズが高く、未経験者の受け入れやキャリアアップのチャンスも豊富です。

転職を考える際は、軒数ランキングやエリア特性を理解した上で、自分に合った働き方・勤務地を選ぶことが重要といえるでしょう。

これから宿泊業界で働きたいという方は、今回ご紹介した内容も是非参考にしてみて下さいね。

 

 


 

ホテルビズでは、全国の様々なホテルの正社員・契約社員・アルバイトの求人を取り扱っています。

また、正社員で転職を希望される方には、転職支援サービスも行っています。

求人をお探しの方・転職をご検討の方は「会員登録:無料」をご利用下さい。

 

 

2025.12.15