
世界的な和食ブームの中でも、今「寿司業態」が日本の食文化を代表する存在として注目を集めています。
海外出店の加速やインバウンド需要の高まりにより、日本国内にとどまらず、海外でも寿司職人・店舗運営・マネジメント人材の求人が拡大中。
下記のような理由から「寿司業界で働くこと」がキャリアステップとして注目されています。
*日本食ブームの広がり
*和食ブームの中心にあるのが「寿司」
*大手から個人店まで海外進出が加速
*訪日観光客の増加によるインバウンド需要で国内市場も拡大
*国内においても、格式高い寿司店から観光客が気軽に立ち寄れる回転寿司まで多様なスタイルの店舗が展開
海外勤務の寿司職人やインバウンド対応スタッフを募集する店舗が増えてきているため、新しい人材が強く求められており、求人市場も活発化。
未経験でも寿司職人や店舗マネージャーを目指せる可能性があるのです。
世界的に注目される寿司業態では、自分の経験を活かしながら新たなキャリアを積む事やグローバルに活躍できるチャンスが広がっています。
・寿司屋で身につく技術は→こちら
・寿司屋の楽しさは→こちら
海外展開している寿司店
ご紹介したように世界的な和食ブームの中でも、日本の食文化を象徴する存在として高い人気を誇っている「寿司」。
その需要の高まりを背景に、今では多くの日本発の寿司ブランドが海外に進出し、現地でも確固たる地位を築いています。
アジアやアメリカ、ヨーロッパなどまで、回転寿司チェーンから高級店まで幅広いスタイルの寿司店が展開されており、世界の人々に日本の味を届けるだけでなく、職人がグローバルに活躍できる舞台も広がっています。
まずは、実際に海外で展開している代表的な寿司ブランドをご紹介します。
①株式会社FOOD & LIFE COMPANIES
ブランド:スシロー
進出先:台湾・香港・シンガポール・インドネシア・マレーシア・タイ・中国大陸・韓国・米国など
海外店舗数:207店舗を突破。
(2025年3月末時点)
②くら寿司株式会社
ブランド:くら寿司
進出先:アメリカ・台湾
海外店舗数:95店舗(2023年4月時点)
③株式会社ゼンショーホールディングス
ブランド:はま寿司
進出先:上海・台湾・香港・中国本土
海外店舗数:49店舗(2024年3月時点)
④株式会社 Genki Global Dining Concepts
ブランド:元気寿司
進出先:ハワイ・シンガポール・インドネシア・フィリピン・タイ・ベトナム・バンコク・香港・中国
海外店舗数:240店舗以上
(FC含む・2025年3月時点)
⑤MATSUHISA・NOBU(ロサンゼルス・アメリカ)(初期の海外の寿司店)
世界的に有名な寿司ブランド「NOBU」は、寿司職人・松久信幸氏が手がけるレストランです。
1987年にロサンゼルスで「MATSUHISA」を開業したのを皮切りに、1994年にはニューヨークに「NOBU」をオープン。
その後、ロンドンやミラノ、バハマなど世界各地に展開し、現在では5大陸に約50店舗を構えるまでに成長しました。
海外で寿司の魅力を広め、世界的な寿司ブームのきっかけをつくったブランドとして知られています。
⑥ポポロ屋(ミラノ・イタリア)(初期の海外の寿司店)
1989年、長野県出身の平澤稔氏が手がけた、同地で初めての本格的な寿司店です。
もともとは日本産食材の販売店から始まり、現在では寿司をはじめ、天ぷらや焼き鳥など幅広い和食メニューを提供。
日本の味を現地に伝える老舗として、イタリアで長く愛され続けています。
⑦Shoukouwa Restaurant(ショウコウワ)
日本の伝統を受け継ぐ江戸前寿司を提供するミシュラン二つ星レストランです。
日本から直送される新鮮な食材を使い、繊細で本格的な寿司を現地で味わえる名店として高く評価されています。
◎このように、多くのブランドが世界各地に店舗を拡大しており、国内外で大きな成長を遂げています。
寿司職人の仕事内容
寿司職人は、寿司を専門に扱う和食の職人で、魚の仕込み・ネタやシャリの準備・握りの提供など幅広い業務を担います。
養成学校や専門学校で基礎を学ぶことはできますが、実際に寿司を握るまでには、仕入れや下ごしらえなど現場での経験が欠かせません。
寿司職人として一人前になるには、長い時間をかけて技術を磨いていく必要があります。
仕事内容は働く環境によっても若干異なります。
個人店では、仕入れから営業準備、接客まで一人で担当することも多く、職人としての腕だけでなくお客様とのコミュニケーション力も磨けます。
一方、大型店やチェーン店では分業制が進んでおり、仕入れは本部が行い、職人は握りや調理に集中できる環境である事が殆ど。
その分、忙しい時間帯にはスピードと正確さが求められます。
どの環境でも経験を重ねて技術を高めていけば、国内はもちろん、海外などグローバルに活躍できるチャンスが広がっています。
寿司業態で働く魅力
続いて、寿司業態で働く魅力や身につくスキルについてご紹介します。
①海外展開で広がるキャリアの可能性
大手チェーンから老舗の名店まで海外出店が相次ぎ、世界中で“本場の味”が求められています。
ご紹介したように日本の大手寿司チェーンは、世界的な和食ブームを追い風に、積極的な海外展開を進めています。
今後も伸び続ける成長市場である寿司業態で働く事で、安定した環境で専門スキルを磨き、グローバルに活躍できる可能性が高まっています。
また、寿司職人は、日本独自の技術を持つ専門職として世界的に需要が高く、多くの国で就労ビザを取得しやすい職種です。
そのため、「海外で経験を積みたい」「将来的に現地でキャリアを築きたい」と考える方にとって、大きなチャンスとなるでしょう。
②インバウンド需要で磨かれるスキル
近年、訪日外国人(インバウンド)の需要が急激に高まっています。
高級寿司店から回転寿司まで様々な店舗に外国人観光客が訪れるため、英語や中国語などの語学スキルやホスピタリティを身につける事ができます。
観光客にとって「本場の寿司」は旅の大きな楽しみのひとつ。
その特別な時間を提供できることは、大きなやりがいに繋がるでしょう。
また、「語学力を活かしたい」「国際的なお客様と関わりたい」という方にとって、寿司業界は理想的なフィールドです。
接客スキルと語学力の両方を活かしながら、グローバル感覚を磨ける職場でもあります。
③一生ものの技術を身につけられる
寿司職人の技術は非常に専門性が高く、一度身につければ世界中どこでも活かせる“一生モノのスキル。
魚の選定から仕込み、握りまでの一つひとつの工程に深い知識と経験が求められるため、日々の仕事がそのまま身につきます。
熟練した職人や質の高いサービスを提供できる人材は、高い需要があるため、長期的なキャリアの安定にもつながります。
<身につく専門スキル>
★魚の目利き・仕入れ
鮮度や産地を見極め、質の高いネタを選ぶ力。
原価管理を通じて、ビジネス感覚も磨かれます。
★魚の仕込み・下処理
三枚おろしや熟成など、素材の旨味を最大限に引き出す高度な調理技術。どの厨房でも通用するスキルです。
★握り・調理技術
シャリの温度や手の圧力を調整する繊細な技術。煮物や焼き物など、料理人としての表現力も高められます。
★衛生管理・品質保持
衛生管理や温度・時間のコントロールなど、安全で安心な提供を支える専門知識を習得できます。
◎寿司職人として働く事で、単なる「料理の仕事」にとどまらず、必要な専門スキルを幅広く習得できます。
どの現場でも通用する技術とビジネス感覚が身につく環境があります。
④多様なキャリアパス
寿司業界では、一流の技術を習得しながら長くキャリアを築ける環境があります。
職人として技を磨いた先には、店長やマネージャー、海外店舗の責任者、さらには自分の店を持つ独立といった多彩なキャリアパスが広がっています。
店舗運営や企画、教育など、現場経験を生かしてステップアップできる道もあります。
伝統を受け継ぎながら、自らの感性や技術で新しい価値を生み出せる
―そんな“一生もののキャリア”を築けるのが寿司業界の魅力です。
⑤日本食文化を世界に発信できる
ご紹介したように、寿司業界は今や世界中で親しまれるグローバルな食文化へと成長しています。
寿司業界は、国内だけでなく世界を舞台にキャリアを築ける数少ない飲食業界のひとつです。
また、寿司は日本の伝統や美意識を体現する存在でもあり、「日本らしさ」や「おもてなしの心」を海外に伝えるという大きなやりがいがあります。
単なる飲食業の仕事にとどまらず、日本の食文化を世界へ発信する役割を担えるのが寿司業界の魅力。
その達成感と誇りは、他の業界ではなかなか得られない特別な経験となるでしょう。
寿司職人になるには?
寿司職人を目指すには、大きく分けて「寿司養成学校や調理師専門学校で学ぶ」「寿司店で弟子入りや勤務を通して技術を習得する」「飲食専門の転職エージェントを利用する」の3つの方法があります。
こちらで詳しく解説していきます。
①養成学校・調理師専門学校に通う
寿司職人を目指す方法のひとつに、寿司養成学校や調理師専門学校で学ぶ道があります。
短期のアカデミーでは数週間~数カ月で基礎を学べるほか、1~3年かけて本格的に学ぶ調理師専門学校の寿司専門のコースもあります。
寿司職人になるのに資格は必須ではありませんが、調理師免許を取得しておくと就職時に有利です。
授業では、和包丁の使い方や出汁の取り方、煮る・揚げる・蒸す・焼くといった基本調理法に加え、食材の選び方や盛り付けなど実践的な技術を学べます。
学校に通うメリットは、短期間で寿司の基礎を効率よく身につけられる事。
また、学校に直接求人依頼がある事や、卒業後に就職支援を受けられる点も大きな魅力でしょう。
魚のさばき方やシャリの作り方など、現場で必要な技術を集中して学びたい方に最適な方法です。
②寿司店に弟子入り・寿司店で働く
寿司職人を目指すもう一つの方法は、寿司屋に弟子入り、またはお寿司を扱っている飲食店などで働いて現場で学ぶ方法です。
学校とは異なり、最初は皿洗いや出前、ホール業務からスタートし、2~3年目には飯炊きや焼き物・煮物などのサイドメニュー、最後に巻き物や握りを担当できるようになるのが一般的です。
店舗や規模によって任される仕事や習得期間は異なります。
小規模店では、仕入れや営業準備まで幅広く経験でき、師匠やお客様との距離が近いため、仕込みや盛り付け、接客スキルなど学校では学びにくい実践的な技術を身につけることができます。
中途採用の場合は、調理経験や調理師免許があると選考で有利です。
また、アルバイトからスタートしても、実績やスキル次第で契約社員・正社員に登用される可能性があります。
未経験者でも働きながら技術を学び、寿司職人としてのキャリアを築ける方法です。
③飲食専門の転職エージェントを利用
調理未経験の方や、効率よく転職活動を進めたい方には、飲食業界に特化した転職エージェントを利用する方法もあります。
業界を熟知したスタッフが、転職をしっかりサポートしてくれるため、スムーズに転職活動を進められます。
また、エージェントは企業とのつながりが強いため、求人票だけでは分からない現場の雰囲気や就職後の働き方についても教えてもらえる事も。
さらに、第三者の視点からアドバイスを受けることで、自分では気づけなかった強みを発見できる事も大きな魅力です。
◎学校では短期間で基礎や実践的な技術を効率的に学べ、就職支援も受けられます。
一方、弟子入りや現場勤務では、皿洗いから握りまで実践を通して学べ、師匠やお客様との距離が近く、接客や盛り付けなど学校では得にくい技術も習得可能です。
転職エージェントを活用すれば、非公開求人の紹介や面接対策、年収交渉などのサポートを受けられ、自分に合ったキャリア形成がしやすくなります。
自分に合った方法を選んで進めていきましょう。
まとめ
海外展開やインバウンド需要の増加により、寿司職人や接客スタッフの求人は増加中。
未経験でも挑戦できる環境が整っています。
魚の目利きや握りなどの専門技術を習得しながら、店長・海外店舗責任者・独立開業など、多様なキャリアを築けるのも大きな魅力です。
さらに、語学力やマネジメント力を活かして海外で活躍するチャンスも広がっています。
寿司は日本の伝統や美意識を体現する食文化であり、その魅力を世界に発信できるのはこの仕事ならでは。
単なる調理職にとどまらず、グローバルな舞台で文化を伝える役割を担えるのが寿司業界の特徴です。
大手チェーンによる海外進出が進む中、未経験からでも挑戦できる環境が整い、早期キャリアアップの可能性も高まっています。
確かな技術と誇りを持って、日本の食文化を世界へ届けるやりがいと、将来性に満ちたキャリアが寿司業界にはあります。
2025.10.25