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ホテル業界への転職活動をする際に必要となる業界研究。

ホテルは、ただお客様にサービスを提供するだけではなく、歴史や文化、景気や時代のニーズと共に変化を続ける業界です。

近年では、ITやサステナビリティの視点も求められるようになり、従来の枠にとらわれない新しいホテルの形の誕生や、外資系ホテルの進出など、業界構造にも変化が見られています。

そこで今回は、ホテルの成り立ちから現在の課題、そして今後まで解説します。

これからホテル業界で働きたいという方は、「業界の基本知識」として、ぜひ押さえておきましょう。

 

 

 

    ホテルの歴史     

 

【*日本のホテルの成り立ち*】


*1860年

日本で最初にホテルが建設されたのは「横浜ホテル」


*1890年

「帝国ホテル」が開業。

それまでは本格的なホテルは建設されませんでした。


*1945年〜

第二次世界大戦後の経済復興期に飛躍的に増え始めました。


*1960年代〜

高度成長期・新幹線の開業や海外旅行の自由化・1964年の東京オリンピック開催・日本で開催されたIMFの総会に伴い、多くの要人や観光客を迎え入れられる一流のサービスを提供できるホテルが求めらるように。

ホテルの第一次開業ブームを迎え、ホテルラッシュの始まりとなりました。

「ホテルオークラ東京」「東京ヒルトンホテル」「ホテルニューオータニ東京」などが相次いで開業。


*1970年〜

大阪万国博覧会や東名高速道の開通・1972年には札幌で冬季オリンピックの開催などにより第二次開業ブーム。

国際的なイベントが日本国内で開催された事により、外国人観光客や日本人を対象としたホテルの建設が相次ぎました


*1960年~1970年代

高度成長期から、1980年代に世界各国の著名人を集めたサミットが東京で開催された頃には、「帝国ホテル」「ホテルオークラ東京」「ホテルニューオータニ東京」が日本のホテル御三家と呼ばれ、長く日本の高級ホテル市場を牽引。

世界レベルの評価を得ており、現在の日本の3大高級ホテルとも言われています。


*1990年代

バブル崩壊と共に、企業は交通費・交際費・広告費の「三K」を削減するように。

今までの料飲型・宴会型のホテルの経営が傾き、「東横イン」「ルートイン」などの宿泊型形態のホテルが登場し、活発にチェーン展開を進めました。


*2000年代

都市開発が進み外資系ホテルの進出が相次ぎました。

2008年のリーマンショックにより、先に紹介した「宿泊特化型ホテル」などの差別化競争が始まり、「グランドハイアット東京」「ザ・リッツ・カールトン東京」「ザ・ペニンシュラ東京」など、デザイン性やサービスの付加価値などを追求したホテルが増え始めています。


*2022年10月〜

コロナ禍の水際対策が緩和されて以降、多くの外国人が日本を訪れるようになった事もあり、外資系ラグジュアリーホテルが日本全国で続々と誕生するように。

また、インバウンド需要の見込みと、日本人の富裕層も増加傾向などの理由から、都内・地方では高級ホテルが続々と開業。

外資系高級ホテルは、これまでは東京・京都・大阪といった都心部を中心に進出していましたが、最近では地方への積極的な出店も相次いでいます。

 

【*日本のホテル開業一覧*】

1860年:横浜ホテル

1866年:築地ホテル館

1873年:日光金谷ホテル

1878年:富士屋ホテル

1890年:帝国ホテル(御三家)

1960年:銀座東急ホテル

1961年:パレスホテル

1962年:ホテルオークラ東京(御三家)

1963年:東京ヒルトンホテル

1964年:ホテルニューオータニ東京(御三家)

1964年:東京プリンスホテル

1969年:赤坂東急ホテル

1971年:京王プラザホテル

1977年:新宿プリンスホテル

1978年:品川プリンスホテル

1980年:ホテルセンチュリーハイアット

1983年:新宿ワシントンホテル

1984年:東京ヒルトンホテル

1984年:六本木プリンスホテル

1985年:ホテルメトロポリタン

1986年:東京全日空ホテル

1988年:リッチモンドホテル目白

1989年:ロイヤルパークホテル

1991年:目黒雅叙園

1992年:ホテル椿山荘(新御三家)

1994年:パークハイアット東京(新御三家)

1994年:ウェスティンホテル東京(新御三家)

1995年:ホテルインターコンチネンタル東京ベイ

1998年:小田急ホテルセンチュリーサザンタワー

2000年:渋谷エクセルホテル東急

2001年:セルリアンタワー東急ホテル

2002年:セレスティンホテル

2003年:グランドハイアット東京

2004年:ヴィラフォンテーヌ汐留

2005年:マンダリンオリエンタル東京(新新御三家)

2007年:ザ・ペニンシュラ東京(新新御三家)

2007年:ザ・リッツ・カールトン東京(新新御三家)

2010年:ザ・キャピトルホテル東急

2012年:パレスホテル東京

2013年:東京マリオットホテル

2014年:アンダーズ 東京

2016年:星のや東京

 

   ホテル業界の現状    

 

現在はインバウンド需要も回復傾向にあルホテル業界。

しかし、現在の状況や課題は気になるところですよね。

ホテル業界が現在抱える課題はいくつかありますが、代表的な2つをご紹介します。

 

①人手不足

 

サービス業全般にいえる事ですが、ホテル業界では人手不足・人材確保が大きな経営的な課題となっています。

厚生労働省が発表した「令和5年雇用動向調査結果の概況」のデータによると、令和5年上半期の宿泊業・飲食サービス業の離職率は約14.8%でした。

他のサービス業と比較すると、宿泊業の離職率は2番目に高い事が分かります。

 

【◆人出不足となる原因◆】

①ホテル特有の労働環境
長時間労働・休日取得日数の少なさ・夜勤含む不規則な勤務形態など挙げられます。

②相次ぐ開業
2022年10月にコロナ禍の水際対策が緩和されて以降、多くの外国人が日本を訪れるようになり、開業が相次いでいる事なども挙げられます。

インバウンド需要の見込みと、日本人の富裕層も増加傾向などの理由から、都内・地方では高級ホテルが続々と開業。

開業や売上を伸ばしている一方で、人材の確保が追いついていないという面もあります。

福利厚生の充実・IT化の推進・DX化・業務のマルチタスク化・SDGsへの取り組みなど、積極的に労働環境改善に取り組むホテルが増えてきています。

 

 

②競争の激化

 

ホテル建設ラッシュの影響もありホテル同士の競争が激化しています。

2023年以降の日本での外資系ホテルの出店は、全国で8割超えとなっており、2023年〜2024年の2年間で日本国内での高級外資系ホテルブランドの開業予定は30施設に及んでいます。

国際的な知名度や有名な最高級ホテルがあれば、安心して訪日できるといった富裕層を含めた外国人観光客が増えるという目的もあります。

対峙する日系ホテルも、開業や建て替え・会員組織の強化・ブランド力の強化など様々な取り組みが行われています。

一方で、近年では、一般の民家に宿泊する「民泊」などの需要が増えてきています。

常に進化し続ける顧客のニーズに対応し、快適な滞在を提供するために、価格競争やサービスの差別化が求められていると言えるでしょう。

 

 

   ホテル業界の今後    

 

課題もあるホテル業界ですが、今後どのようになっていくのでしょうか。

 

 

①DX化(IT化)への取り組み


DXとは、デジタル化によるコスト削減・人件費削減・業務プロセスの改善していくだけでなく、ICT技術を活用しながら会社のビジネスモデル・組織を変革し、競合の優位性を確立する事を意味する経営戦略です。

ホテル業界は、アナログな業務が多く、効率が悪いため業務量が増えてしまう事も1つの原因と考えられます。

業務の効率化がすすめば、スタッフが業務に集中できるようになり、より良いサービスの提供ができるため、顧客満足度の向上も図れるでしょう。

宿泊業界におけるDXは、業務の効率化による人手不足の解消、お客様のニーズへの迅速な対応、満足度の向上などに大いに役立ちます。

しかし、ただDX化を推進すれば良いというわけではありません。

ホテルは対人との繋がりが非常に大切であり、おもてなしやサービス・癒しを求めて来館されるお客様も多くいます。

機械化される事で、無機質で冷たい印象を受ける事も少なくありません。

お客様が求めるサービスを見極めDXを推進していく事が大切です。

 

 

②マルチタスク化による業務効率の推進

 

ホテルは、業務ごとの部門に分けられ、職種も細かく縦割りで分業化されています。

しかし、今後は、複数の業務を横断的に行う事ができるようマルチタスク化する事も求められてきています。

例えばフロントスタッフが足りなくても、その仕事を別の部門の人ができるのであれば、新たな人を雇う必要が無くなくなります。

人件費が削減や、人材採用をしやすくなるなどのメリットがあります。

 

 

③SDGsの推進

 

SDGsとは、「2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す」事を目標に、2015年の国連サミットで定められた持続可能な開発目標の事。

ホテル業界でも、世界を変えるためのSDGsの実現に向けて、プラスチック削減や省エネなどの環境配慮・地域の活性化などの社会貢献・やりがいのある職場づくりなどの取り組みが行われています。

人手不足・人材確保が大きな経営的な課題となっているホテル業界。

SDGsに取り組む事で、このような課題を改善できる可能性が大きくなります。

 

 

④外資系ホテルの進出


前述したように、今後も世界4大チェーンと呼ばれている下記のホテルを中心に、更なる外資系ホテルの開業が相次ぐでしょう。

 

①マリオット・インターナショナル
②ヒルトン・ワールドワイド・ホールディングス
③アコーグループ
④IHGホテルズアンドリゾーツ

 

 

⑤宿泊型主体のホテルの増加


外資系ホテルの開業が相次ぐ一方で、日本では経済格差が広がっている事や、Inn(小規模で安く利用できる宿など)とHOTEL(大規模で高級な宿泊施設)を使い分ける人が増えている事から、低価格で宿泊できる宿泊特化型ホテルも増えていくのではないかと思われます。

 

 

⑥日本のホテルのチェーン化


日本にある殆どの外資系ホテルはチェーン展開していますが、日本のホテルは単独型が多く、チェーン展開はまだ2〜3割程度。

サービスなどの品質が一定しており、コストをあまりかけずに効率的な経営ができるなどメリットがあるため、日本でもチェーン化が進んでいくでしょう。

 

     まとめ      

 

簡単にはなりますが、ホテル業界の歴史・現在・今後などについてご紹介させて頂きました。

これからホテル業界で働きたいという方の参考になればと思います。

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2025.07.28