
近年、日本ではインバウンド需要の回復により、外資系ホテルの進出が急速に増えています。
特に注目されているのが、世界的なブランド力を持つ「4大高級ホテルチェーン」の日本での新規開業。
マリオット、ヒルトン、IHG、アコーは、それぞれ多彩なブランドを展開し、日本各地で新しいホテルプロジェクトを進めています。
本記事では、世界4大高級ホテルチェーン①に引き続き、これら4大ホテルチェーンが2023年以降に日本で開業予定のホテル一覧をわかりやすくまとめるとともに、外資系ホテルが日本へ進出する際に採用する、主な契約形態(MC・FC・賃貸)についても詳しく解説します。
日本のホテル業界の最新動向や、外資系ホテルへの転職・キャリア形成を考える方にも役立つ内容になっています。
世界4大ホテルチェーンの開業予定
前の記事でご紹介したように、世界の4大高級ホテルチェーンと呼ばれるホテルが以下の4つになります。
(アメリカ)
②ヒルトン・ワールドワイド・ホールディングス
(アメリカ)
③IHGホテルズアンドリゾーツ
(イギリス)
④アコーグループ
(フランス)
ここでは、マリオット・ヒルトン・IHG・アコーの4ブランドが、2023年以降に日本で予定している開業情報をまとめてご紹介します。
①マリオットインターナショナル
2023年に日本に5ホテル開業・2025年〜2026年に3ホテル開業予定。
*主な日本での事業主
三井不動産・南国殖産・積水ハウス・西日本鉄道・奈良県・森トラスト等
【2023年】
ブルガリホテル(東京・4月)
シェラトン鹿児島(鹿児島・5月)
ザ・リッツ・カールトン福岡(福岡・6月)
東京エディション銀座(東京・11月)
翡翠ラグジュアリーコレクション(奈良・8月)
【2025年】
JWマリオット・ホテル東京(東京)
【2026年】
コートヤード京都(京都)
ラグジュアリーコレクション鳥取(鳥取)
②ヒルトンワールドワイドホールディングス
2023年に2ホテル開業・2024年〜2026年に5ホテル開業を予定しています。
*主な事業主
三菱地所・鹿島建設・ケンコーポレーション等
【2023年】
ヒルトン沖縄宮古島リゾート(沖縄・6月)
ヒルトン 横浜(神奈川・9月)
【2024年】
キャノピーbyヒルトン大阪梅田(大阪)
【2025年】
ウォルドーフ・アストリア大阪(大阪)
【2026年】
ウォルドーフ・アストリア東京日本橋(東京)
コンラッド名古屋(愛知)
キャノピーbyヒルトン沖縄宮古島リゾート(沖縄)
③IHGホテル&リゾーツ
2023年に3ホテル開業・2024年〜2026年に4ホテル開業予定。
*主な事業主
NTT都市開発・パンパシフィック・CHC琉球等
【2023年】
VOCO大阪セントラル(大阪・6月)
ホテルインディゴ東京渋谷(東京・9月)
【2024年】
シックスセンシズ京都(京都)
【2025年】
インターコンチネンタル札幌(北海道)
リーガロイヤル大阪 Vignette Collectiou(大阪)
【2026年】
インターコンチネンタル沖縄美らSUNリゾート(沖縄)
④アコーグループ
2023年に2ホテル開業・2024年〜2025年に26ホテル開業予定。
*主な事業主
平和不動産・サムティ等
【2023年】
メルキュール東京日比谷(東京・12月)
メルキュール羽田(東京・11月)
【2024年】
全国に25ホテルを開業。
ブランドは「メルキュール リゾート&スパ」・「グランドメルキュール」・「グランドメルキュール リゾート&スパ」「ノボテル」など
【2025年】
フェアモント東京(東京)
★このように、4大ホテルチェーンも日本に多く出店しています。
その他にも多くの外資系ホテルの開業が相次いでおり、まだまだ開業のラッシュが予想されます。
日本進出時の契約形態
外資系ホテルが日本に進出する時の代表的な運営方式は、主に賃貸・MC(運営委託)・FC(フランチャイズ)の3つです。
これらはホテルの経営や運営の仕組みが大きく異なり、働く人にとってもキャリアパスや職場環境に影響する重要なポイントです。
ここでは、日本で主に採用されている3つのホテル運営方式について、わかりやすく説明していきます。
①賃貸
賃貸は、企業が所有するホテル(建物所有者)を1棟を直接賃貸し、運営会社が経営する形式のもの。
運営会社は建物オーナーである所有者に賃料を払い、ホテルの経営と運営に特化します。
日本のホテルと不動産会社でよく採用されていた方法です。
外資系ホテルブランドはこの契約形態を基本的には好まなく、主にビジネスホテル等で多く採用されている。
【主なホテル】
・マンダリンオリエンタル東京
②MC(運営委託型)
外資系高級ブランドで多く締結されるのがMC契約。
ホテル事業では「所有・経営・運営」という3つの役割が存在します。
MC方式(マネジメントコントラクト方式)とは、ホテルのこの3つの役割を分担する運営方式で、実務上は「所有・経営」を担う会社が、ホテルの「運営」の部分だけを別の会社に委託するパターンが主流です。
この契約では、建物所有者(ホテルオーナー会社)が自社やその子会社としてホテル経営会社を設立させ、その会社が従業員を雇用し、経営責任を負います。
ホテルオーナー会社からはホテルのスタッフなどが派遣されるが、経営責任を負う事はありません。
子会社は派遣された人件費の負担があり、更に多額のブランド料を支払う仕組みになっています。
一方で、「所有・経営」を担うホテルオーナー会社は、「運営」を委託する代わりとして、子会社に運営委託料(売り上げに応じた委託料)を支払います。
しかし、日本側の子会社は、ホテルブランドに属する事で総支配人等の派遣スタッフやノウハウを得る事ができたり、ブランドの運営ノウハウの享受により高度なサービスの提供、そしてブランドの持つ世界中のVIP客を招く事ができる予約システムの利用などが可能となります。
【主なホテル】
・オークラ ホテルズ&リゾーツ
・ホテルアンダーズ
・ニッコー・ホテルズ・インターナショナル
・ホテルJALシティ
・ANAクラウンプラザ大阪
・グランドハイアット東京
③FC契約(フランチャイズ)
FC契約は、飲食店やコンビニエンスストアなどと同じフランチャイズ契約を指し、ホテル業界でも一般的に取り入れられています。
FC契約を結ぶ事により、加入者は、経営ノウハウの享受・ホテル予約システムなどが利用・ブランド名の使用が得られ、本部に加盟料(ロイヤリティ)を支払う方式となっています。
経営に自由度がある反面、ブランド側の支援は少なく、シェラトンなどはこの形式のものが多くなっています。
しかし、経営の自由度が高い分、高級なブランドになるほどFC契約は締結しない傾向があります。
★このような方法で外資系ホテルは日本への進出を果たしています。
訪日外国人が増加しており、特に初めて日本に来る外国人は世界的にブランド力のあるホテルを選ぶ事が多くなってします。
そのため、日本の企業(デベロッパー等)は、集客や収入の面で積極的に外資系ホテルと締結する事が多くなっています。
まとめ
現在の日本では、インバウンド需要の回復により外資系ホテルの開業が続き、世界的ブランドで働けるチャンスが大幅に増えています。
マリオット・ヒルトン・IHG・アコーといった4大高級ホテルチェーンは、全国で新規ホテルプロジェクトを進めており、今後も多様な職種で採用が増えることが期待されます。
本記事では、各ブランドの開業予定だけでなく、外資系ホテルが日本で採用する「賃貸・MC・FC」といった運営方式の違いも解説しました。
これらは職場環境、キャリアの伸ばし方、求められるスキルにも影響するため、転職活動を進めるうえで非常に重要なポイントになります。
日本のホテル市場は今後も外資系ブランドの参入により活性化していくため、外資で働きたい方やキャリアアップを目指す方にとって、大きなチャンスが広がっています。
外資系ホテルに興味がある方や、ホテル業界への転職を検討している方にとって、最新動向を把握しておくことは、業界研究だけでなく、将来の転職やキャリア選択にも役立つでしょう。
2025.12.09

